白クマ
日医白クマ通信 No.421
2006年6月7日(水)


定例記者会見
社会保険庁における国民年金保険料不正免除問題に関する声明を発表

唐澤祥人会長


 唐澤祥人会長は、6月6日、日医会館で記者会見を行い、「社会保険庁における国民年金保険料不正免除問題に関する問題」について、「年金の徴収は、社会保険庁の基本的な職務であり、不正免除の件は重大な職務放棄であると考えている。年金制度の揺らぎは、国民に、将来の年金受給に対する不安を与えてしまっている」と今回の件に対して強く遺憾の意を表し、下記のとおり声明文を発表した。


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平成18年6月6日

社会保険庁における国民年金保険料不正免除問題に関する声明

日本医師会

 医療とともに国民の安全保障の根幹をなす年金制度において、国民年金保険料の不正免除という問題が生じたことに大きな憤りを感じています。また、このことによって、多くの国民が、より大きな将来不安を覚えたことに、深く心を痛めています。

 今回の問題は、表面的には、社会保険庁のモラルダウンが要因であるかのように見えます。もちろん、社会保険庁へのそしりは免れません。法律違反と国民への背信という二重の犯罪であるといえます。社会保険庁職員の意識改革をせずに、「民間手法」で納付率を競わせたことも、今回の失態を招いたと考えます。

 しかし、国民年金崩壊の根本問題は、国民年金や国民健康保険がなくても、生活保護など福祉で構わないという国民倫理の崩壊によるものではないでしょうか。その背景には、国民年金の給付額の低さがあります。社会保険庁改革は、不正を生み出す体質の改善とともに、魅力ある年金制度の再構築を行うべきだと考えます。

 国民の不安感は、厚生年金や健康保険(政管健保)にも広がろうとしています。国民年金と同じ手法での不正はあり得るからです。社会保険庁が厚生年金、健康保険(政管健保)についても、厳正なる調査、報告を行うよう強く求めていきたいと考えます。

 また、今般の医療制度関連法案では、医療費適正化のためとして、都道府県別の糖尿病等の患者・予備群減少率、平均在院日数の短縮に関する目標、そして都道府県別の診療報酬までもが採り入れられようとしています。この数値目標が、新たな不正や偽装を生むことがあってはなりません。

 日本医師会としては、国民の健康と安全を守りつづけるために、年金保険制度、健康保険制度の充実のために、さらに力を尽くすことを決意します。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)

※唐澤祥人会長の「祥」の字は機種依存文字なので、近い字を使用しております。ご了承ください。


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