白クマ
日医白クマ通信 No.454
2006年7月25日(火)


第1回医療事故責任問題検討委員会
諮問は「医療事故と業務上過失致死罪による刑事処分との関係の検討、および法律改善策などについての提言」

第1回医療事故責任問題検討委員会


 医療事故責任問題検討委員会の第1回会合が、7月24日、日医会館で開催された。

 本委員会は、医療事故の警察への届出により派生する諸種の問題点とその解決のための根本的な検討を行うために、医療関係者のみならず、司法の関係者にも参加してもらい、プロジェクト委員会として立ち上げたもの。

 木下勝之常任理事の司会で開会。まず、木下常任理事は、「福島県立大野病院の事件を契機に、いわゆる異状死問題がクローズアップされてきているという背景のもと、法曹関係者と共に、医療事故に対する民事責任、刑事責任、行政処分等の責任問題を検討し、この問題に関し、医師と法曹界とが共通の見解をまとめることを目的として委員会を設立した」と、経緯を説明した。

 つづいて、唐澤祥人会長はあいさつで(宝住与一副会長代読)、「医療事故は、日進月歩する医療の過程で発生することが多くなっている。医師法21条などによる警察への届出は、過失の有無、軽重を問わずになされるが、現状は多数の届出案件が、捜査未着手、未終了の状態に置かれ、関係者は長期間にわたり不安な日々を送っている」と述べた。

 委員長には樋口範雄東京大学大学院法学政治学研究科教授が、副委員長には奥平哲彦日医参与が指名され、樋口委員長に、宝住副会長より、諮問書「医療事故と業務上過失致死罪による刑事処分との関係の検討、および法律改善策などについての提言」が手交された。

 委員長、副委員長のあいさつと委員の自己紹介の後、討議に入った。

 当日は、最初に、現状を認識するために、異状死に関する主な意見・声明・ガイドラインや異状死の届出対象に関する見解として、(1)リスクマネージメントマニュアル作成指針(平成12年8月厚労省発表)、(2)医療事故防止のための安全管理体制の確立について(平成12年5月国立大学医学部附属病院長会議発表)、(3)異状死等について―日本学術会議の見解と提言―(平成17年6月発表)、(4)医師法21条等の問題に関する日医会内委員会等の過去の見解―などの資料について、確認を行った。また、医療事故における刑事、行政処分や医療過誤判例等を基に、「民事責任」「行政処分」「刑事責任」などに関する自由討議が行われた。

 次回は、事例の検討と諸外国における刑事手続き等について協議する予定。

◆問い合わせ先:日本医師会医療安全対策課 TEL:03-3946-2121(代)

※唐澤祥人会長の「祥」の字は機種依存文字なので、近い字を使用しております。ご了承ください。


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