白クマ
日医白クマ通信 No.463
2006年8月3日(木)


定例記者会見
規制改革・民間開放推進会議「規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申」について

内田健夫常任理事


中間答申の内容は、「改革利権」

 内田健夫常任理事は、8月1日、定例記者会見で、規制改革・民間開放推進会議「規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申」について、日医の意見を述べた。

 内田常任理事は、「日医は、わが国の持続的かつ安定的な経済、社会の成長のために必要な規制改革・民間開放を否定するものではない。しかし、『生命・身体・健康』を犠牲にしてまで経済活性化を図るという考え方は、絶対に容認できない」と日医の基本的な考え方を説明した。

 医療は、国民の生命・健康の破綻からの回復、維持、増進を図るもので、国民の生存に関わる権利であり、医療に係る現在の規制は国民を守ることを目的としている。

 経済活性化・財政再建もしくは歳出削減の観点からこれらの規制を改めることは、逆に「生活者・消費者本位の経済社会システム」を崩壊させ、「格差社会」を恒久的、固定的なものとさせかねないとして、「規制改革・民間開放推進会議及びその背後にある経済界・企業が、医療を成長産業とみなして市場の創出・拡大を図るために必要な規制の解除を要求することは、『我田引水』、『改革利権』と受けとられてしかるべきである」と述べ、中間答申を強く批判した。

 医師の資質維持・向上のための取組みについては、中間答申にいう『医師として一定水準以上の知識技能の維持は絶対的な条件であり、さらにはその向上を図ることは利用者の信頼にもつながる』とは、まさしくそのとおりであるとしたうえで、「日本医師会の生涯教育制度をもって、中間答申の要求は満たされる」と述べた。

 専門医制度と医師免許との連携を含めた総合的な視点から医師資格制度の見直しについては、「平成18年度検討・結論、平成19年度措置」という工程は、余りにも拙速で、「実施は、むしろ国民の医療に対する信頼を失墜しかねない」と言及し、「わが国の専門医制度は、各学会が独自に認定してきたいわばボトムアップ型の構造であり、これに日本医師会、日本医学会、専門医認定医制認定機構、社会、行政等からなるトップダウン型の構造を加えて再構築するためには、中長期的な視点に立った取り組みが求められる」と主張した。

 また、中川俊男常任理事は、日医内に「規制改革・民間開放推進会議対策検討チーム」を発足させたと述べ、年末の同会議の答申に対して、日医としての対案をまとめると報告した。

 同常任理事は、「行政処分を受けた医師への再教育の具体案、医療安全対策、医師資格の在り方などが検討課題だが、特に生涯教育制度を充実させることで、国民の納得を得るようにしたい」と述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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