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定例記者会見 国民医療費の伸びは年1〜2%台で推移 −04年度国民医療費で問題認識− |
中川俊男常任理事は5日の定例記者会見で、厚生労働省が公表した、2004年度の国民医療費および老人医療費について、日医の見解を説明した。厚労省は、診療報酬改定がなかった場合の04年度の国民医療費の伸び率を年3〜4%と推計していたが、今回の公表データによって、実際は2%台の伸びに止まっていることが明らかになった。厚労省の医療費推計について、日医は、「医療費を抑制することの妥当性を主張するために、過大に見積もっている」と問題視していた。 今年7月に閣議決定された「骨太の方針2006」をめぐる議論では、厚労省が出した医療費将来推計の妥当性が論点のひとつとなった。厚労省は、医療費の伸びが比較的大きかった1995〜1999年の医療費の伸び率(年3〜4%)をベースに、仮に医療制度改革を実施しなかったとすると、2025年度の国民医療費は65兆円、医療給付費は56兆円になると予測した。 これに対して日医は、直近のデータから予測される医療費の伸びは、年2%台に止まるとして、2025年度の国民医療費を49兆円と推計。厚労省の主張と真っ向から対立していた。 厚労省の発表によると、04年度の国民医療費は32.1兆円となり、前年度に比べて1.8%伸びた。厚労省は04年度についても、診療報酬改定がなければ、医療費は3〜4%伸びるとしていたが、改定の影響を除いた伸び率は2.8%。さらに02年度は2.0%、03年度は1.9%となっており、ここ数年は厚労省の予測に反して、1〜2%台の伸びで推移していることが明らかになった。 一方、老人医療費については、1人当たり老人医療費の伸び率の上位5県が報道などを通じて大きくクローズアップされた。しかし、中川常任理事は、04年度の上位5県が常に上位にランクインしているわけではないことを指摘。今回、上位5県に入った福岡県の過去4年間の平均伸び率が、下位5県に入った宮城県と同じ0.9%であることを示して、「(医療制度改革論議の中で何度となく浮上している)単年度の伸び率管理がいかに医療現場に混乱を招くものであるかがわかる」と話した。 問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03−3946−2121(代) |
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