白クマ
日医白クマ通信 No.5
2004年10月22日(金)


混合診療解禁に関連したマスコミ報道に櫻井副会長が反論

 厚生労働省の医療課長が、混合診療容認ととられるような発言をし、内保連、外保連に対して、混合診療の対象として考えられる医療行為、医薬品、検査などをリストとして提出するよう要請したとの報道が一部マスコミでなされた。

 これに対して、櫻井秀也日本医師会副会長は以下のように語った。

 「医療課長に直接面談して確認したところ、医療課長は『混合診療を容認する発言はしていないし、混合診療の導入には反対である。内保連、外保連の先生方には、特定療養費制度について説明し、現行の保険診療で認められていないために臨床の現場で困っている医療行為、医薬品などがあったら教えてほしいとお願いした』と述べた。そして、文章などによる要請ではなく、言葉のうえでの依頼であることが事実として確認できた。

 いずれにしても、報道されたような内容にとられる発言をしたことは、きわめて遺憾であり、今後十分注意してほしいことを伝えた。

 また、内保連、外保連ともに、今回の医療課長の依頼には回答しないことに決定したとの連絡があった。現時点でこのような内容をリストアップすることは、一部マスコミが報道したとおり、あたかも混合診療を容認しているかのような誤解を与えることになるので、内保連、外保連が回答を保留したことは、きわめて正しい判断であると評価している。

 なお、混合診療問題と密接な関連のある『特定療養費制度』については、中断している中医協を速やかに再開して、中医協の場で大いに議論すべきと考える」


国民医療推進協議会総会開かれる

 国民医療推進協議会総会が、10月21日、35団体の参加を得て、日医会館小講堂で開催された。

 協議会会長である植松治雄会長(日本医師会長)は、いわゆる混合診療の解禁を目論んでいる政府の規制改革・民間開放推進会議の医療改革が、将来的に国民皆保険制度の崩壊につながる危険性を指摘し、国民皆保険制度堅持に向けて、賛同する団体と協力して、国民運動として継続的に展開していく決意を表明した。

 総会は、国民医療推進協議会設立会の報告のあと、議事に移り、残り1名の協議会副会長に、南裕子日本看護協会長を選出した他、協議会理事27名も決定した。つづいて、松原謙二常任理事が、都道府県における国民皆保険制度を守る地域集会の開催予定を紹介し、各団体の会員の参加を呼びかけるとともに、11月22日を締切日として実施する署名運動への協力等を依頼した。

 引き続き開かれた記者会見で、植松会長は、「なぜ混合診療に反対しているかは、なかなか分かりにくい面があるが、国民にしっかり説明して、理解していただくようにしなければならない。報道なども一面的なものが多いので、医療制度の将来がどうなるかという側面からみていただきたい」と説明した。

 さらに、植松会長は、従来は地域の医師に集まってもらって、中央で大会を開催するケースが多かったが、今回は地域での運動の広がりを基盤に、国民の意見を代弁していきたいと抱負を述べた。


◆国民医療推進協議会参加団体◆
 平成16年10月19日現在

団 体 名
代表者
健康・体力づくり事業財団会 長  加藤陸美
全国公私病院連盟会 長  竹内正也
全国病院理学療法協会会 長  龍澤良忠
全国訪問看護事業協会会 長  相川宗一
全国有床診療所連絡協議会会 長  内藤哲夫
全国老人保健施設協会会 長  漆原 彰
全日本鍼灸マッサージ師会会 長  杉田久雄
全日本病院協会会 長  佐々英達
日本医師会会 長  植松治雄
日本医療教育財団理事長  寺田明彦
日本医療事務振興協会理事長  新村勝由
日本医療社会事業協会会 長  中平大悟
日本医療法人協会会 長  豊田 堯
日本医療保険事務協会理事長  柳澤健一郎
日本ウオーキング協会会 長  岡野吉春
日本栄養士会会 長  中村丁次
日本介護福祉士会会 長  田中雅子
日本学校保健会会 長  矢野 亨
日本看護協会会 長  南 裕子
日本作業療法士協会会 長  杉原素子
日本歯科医師会会 長  井堂孝純
日本歯科衛生士会会 長  金澤紀子
日本視能訓練士協会会 長  臼井千惠
日本柔道整復師会会 長  茂住延壯
日本鍼灸師会会 長  相馬悦孝
日本精神科病院協会会 長  鮫島 健
日本退職公務員連盟会 長  下条進一郎
日本病院会会 長  山本修三
日本病院薬剤師会会 長  全田 浩
日本放射線技師会会 長  熊谷和正
日本訪問看護振興財団理事長  吉原健二
日本薬剤師会会 長  中西敏夫
日本理学療法士協会会 長  中屋久長
日本臨床衛生検査技師会会 長  オザキ シゲアキ
日本医業経営コンサルタント協会会 長  松田 朗
計 35団体


板橋区医師会、区民まつりで混合診療解禁反対を区民に訴え

 平成16年10月16日、17日にわたって、東京都板橋区の大山駅周辺で行われた板橋区民まつりで、板橋区医師会(杉田尚史会 長)は混合診療解禁反対を区民にアピールした。

 板橋区医師会では、区民まつりに医師会のブースを出し、例年区民の健康意識調査のアンケート等を行なってきたが、本年はアンケートに加え、混合診療解禁の問題を区民に対して訴えることにした。医師会ブースには、「混合診療解禁反対」の「のぼり」を立てるとともに、板橋区医師会理事が交代で区民への説明に当たった。

 日本医師会の「混合診療ってなに? -Q&A-」という小冊子三千六百部と板橋区医師会独自で作成した混合診療解禁反対のチラシをアンケートに協力してもらった区民一人ひとりに配付し、混合診療解禁の問題に理解を求めた。

 板橋区医師会では、今後も区民に対し混合診療解禁反対を訴え続ける予定。


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