白クマ
日医白クマ通信 No.506
2006年10月5日(木)


定例記者会見
「安倍総理の所信表明演説に対する日医の見解を公表」

左:中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は10日4日の記者会見で、安倍新総理の所信表明演説に対する日医の見解を説明した。見解は、経済の安定的成長や「国民負担の最小化」を目標に掲げていることは評価したものの、前政権の方針を踏襲して歳出改革に取り組むとしている点を憂慮。「間違っても伸び率管理や、保険免責制度のような、日本の公的医療制度の息の根を止める政策が導入されることのないよう、お願いする」とけん制している。

 安倍総理は所信表明で、医薬、工学、情報技術などの分野への重点投資を促すことで、経済成長を維持するとしている。この点について、日医の見解は、「経済が堅調であれば、税収が増え、社会保障制度を支える財政基盤も安定する」と歓迎する考えを示した。その一方で、社会保障に対する国民の不安が解消されなければ、長期にわたる経済成長の維持は期待できないとも指摘。これ以上の給付の切り下げを行わないよう、強く要請した。

 「国民負担の最小化」を目指すとしている点には、「問題はその手法だ」とし、前政権のように給付費を圧縮して、国民に負担をつけ返していくのであれば、この目標は「たちまち形骸化する」と釘を刺した。

 消費税引き上げの問題では、「『改革を徹底して実施した上で、対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては』との条件付きながら、社会保障財源確保のための引き上げを視野に入れている」と分析。その上で(1)国会議員を含む公務員の人件費削減、(2)公共事業費の見直し、(3)特別会計の見直し、(4)組合健保の保険料の政管健保並みへの引き上げ、(5)保険料上限の撤廃―などを実施すれば、必要な財源は確保できるとの見解を改めて示した。

 会見した中川常任理事は、安倍総理が、レセプト請求の原則オンライン化や、後発品医薬品(ジェネリック)の使用促進などについても発言していることに対する見解を問われ、「(現時点では)問題点がお分かりになっていないのではないか。繰り返し、レセプトオンライン化の強引な導入や、ジェネリックの使用促進には慎重な対応が必要であるとご説明したい」と話した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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