白クマ
日医白クマ通信 No.510
2006年10月10日(火)


第2回医療政策会議「医療計画と医療費などテーマに委員が講演」

医療政策会議


 第二回医療政策会議(議長・黒川清日本学術会議会長)が9月27日、日本医師会館で開かれ、田中滋委員(慶大大学院経営管理研究科教授)が医療計画を、池上直己委員(慶大医学部医療政策管理学教授)が医療費などをテーマに講演を行った。

 本会議は日医の三大会議の一つで、7月の初会合で会長から諮問「国民の医療と財源のあり方」を受けている。

 冒頭、あいさつした唐澤祥人会長は安倍内閣の発足にふれ、「安倍総理は改革路線を継続すると言っており、5年間で一兆一千億円の社会保障関係費を削減するという案は消えていない」として、「十分見極めたうえで対応したい」との慎重な姿勢を示すとともに、「医療の格差、へき地医療、医師の偏在、産科・小児科問題など課題山積の中で、我々も主張するところは主張したい。厚生労働省の政策方針が出てきた段階で、本会議としては提言をし、行動していきたい」と各委員への協力を求めた。

 田中委員は「地域格差と医療の危機―医療計画を危機克服に活かすためには」と題した講演で、新しい医療計画について、一つの病院で完結する従来の医療から地域で完結する医療へ転換させる方向性が打ち出されたことを評価。医療機関が機能を特化・集約化させた上で、一人の患者を地域でシームレスに診ることができる疾病ごとの柔軟な医療連携体制の構築など、地域格差が生じているなかで各地が医療提供体制改革に取り組んでいくうえでの考えを示した。

 池上委員は「医療費の伸び率と診療報酬の改定率社会保障全般 生活保護との関係」と題した講演の中で、4%といわれる医療費の自然増のうち、高齢化部分(2%)は認められても、技術進歩部分(2%)が認められなければマイナス改定となってしまうことを指摘し、継続された場合の問題点を取り上げた。また、療養病床の受け皿として、障壁の高い老健や「特定施設」ではなく、「住居」に移管したほうが、社会保障における国の役割との整合性、病院としての自由度の両面からより適切との見解を示した。

 質疑応答では、医療提供体制の再構築が公的医療機関を中心に進められるのではないかとの懸念や、地域の医療機能調査をして早急に都道府県と調整を進める現実的な体制を整える必要があるとの意見などが出されたほか、厚労省が過大な医療費推計をしていることを問題視し、正しい医療費予測が国民に知らせるべきだとの発言などがあった。

◆問い合わせ先:日本医師会情報企画課 TEL:03−3946−2121(代)


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