白クマ
日医白クマ通信
2006年12月3日(日)


定例記者会見
「緊急レセプト調査の結果を公表 療養病床では7月以降減収が続く」

鈴木満常任理事


 鈴木満常任理事は、11月29日の定例記者会見で、今年6月から9月診療分を対象にした「緊急レセプト調査」の結果を公表した。7月からの療養病床における診療報酬見直しの影響を把握する目的で実施したものだが、療養病床を有する病院、診療所においては、7月以降、入院総点数の前年比がマイナスのまま推移しており、「このままの状況が続けば、療養病棟の適正管理を維持することが困難になる」と問題視している。

 全国の日医会員からランダムに抽出した医療機関からデータの提出を受け、集計・分析した。有効回答数は診療所1,758、病院150(200床未満のみ)の合計1908施設で、有効回答率は48.3%。

 総点数の前年比(6〜9月累計)をみると、診療所はマイナス1.22%減、病院はマイナス0.55%となった。厚労省は、制度改正がなかった場合、医療費は年3〜4%伸びるとの見解を示している。そのため、理論上はマイナス3.16%の改定を加味しても、医療費の伸びはプラスで推移するはずだが、実際は、自然増でマイナス分を吸収しきれないほど、落ち込みが大きかったことを示している。

 一方、療養病床の見直しによって、療養病床を持つ有床診療所では、入院医療が1割以上の減収になっていることが明らかになった。7月における1医療機関当たりの入院総点数の前年比は、有床診療所マイナス10.51%、病院マイナス6.76%(いずれも、医療・介護療養病床を60%以上もつ医療機関)。8月、9月においても、前年比マイナスのままで推移している。

 このため、同常任理事は、(1)6〜9月の総点数の前年比は、医療費の自然増分を吸収してもマイナスとなっており、このままでは地域医療を担う医療機関の崩壊を招きかねない(2)7月の療養病床における診療報酬の見直しの影響は甚大だった(3)療養病床をもつ医療機関においては、7月以降、入院総点数の前年比がマイナスのまま推移しており、このままでは療養病棟の適正管理を維持することが困難になる−などと指摘。診療の継続性を確保するための措置を早急に取るよう、厚労省に強く要請していく考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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