白クマ
日医白クマ通信 No.562
2006年12月28日(木)


定例記者会見
「高齢社会における医療報酬体系のあり方に関する研究会」
(国民健康保険中央会)が取りまとめた報告書について

鈴木満常任理事


 鈴木満常任理事は、12月27日、日医会館で、記者会見を行い、「高齢社会における医療報酬体系のあり方に関する研究会」(国民健康保険中央会)が取りまとめた報告書についてコメントした。

 鈴木常任理事は、まず、日医の竹嶋康弘副会長が委員の一人として参加している同研究会の報告書の内容について、日医も賛成したとの誤解を招くような報道が一部でなされたことを問題視し、遺憾の意を示した。日医の考えは同研究会のなかで十分主張したものの、国保中央会という保険者の立場での報告書の作成となり、最終的取りまとめは水野肇委員長に委ねられた経緯があると説明。

 「かかりつけ医に登録した後期高齢者の人数に応じた定額払い制度を導入すべき」とされる報告書の内容にも触れ、人頭払いにすれば、「いつでも、どこでも、だれでも」というフリーアクセスのうち「どこでも」が阻害され、医療の質を低下させる。これは、フリーアクセスが制限されている英国での国民医療の状況を見れば明らかで、その経験を日本の教訓とし、同じ過ちを犯すべきではないと述べた。

 また、かかりつけ医が担うべき役割で「従来の出来高払いの枠組みに収まらない機能」として示された4項目に関しては、(1)「後期高齢者の健康状態の把握と健康上の相談」は、保険適用の可否を検討すべき、 (2)「診察・治療(専門医や病院への紹介を含む)」は、本来、出来高払いを基本とすべき、(3)「リハビリテーションの指導」は、専門医の確認や指示が必要な場合がある、(4)「ターミナルケアヘの対応と看取り」は、患者の尊厳が重要であり、包括での支払いについては国民的議論が必要―として、いずれも人頭払いの形を取る必要がまったくないことを強調した。

 最後に、鈴木常任理事は、後期高齢者医療制度について、日医としての見解をまとめるべく、現在、会内委員会(高齢者の診療報酬体系検討委員会、社会保険診療報酬検討委員会)に付託して鋭意検討中であり、慎重に議論を進めているとした。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)


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