白クマ
日医白クマ通信 No.583
2007年2月1日(木)


定例記者会見
「独立行政法人の決算分析を公表」

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、1月31日の定例記者会見で、独立行政法人の2005年度決算の分析結果を公表した。政府出資金などとして多額の税金が独立行政法人につぎ込まれているうえ、すでに1.8兆円が赤字のために食いつぶされていることなどを指摘。社会保障財源の調達方法として消費税引き上げを議論する前に、こうした国の無駄にメスをいれるべきだとの考えを改めて示した。

 2006年度に現存する独立行政法人104法人の財政状況を2005年度の決算にまで遡って分析した。2005年度から2006年度にかけて統廃合があったため、実際には、114法人分の財務諸表が分析対象となった。

 それによると、独立行政法人には2001年4月の設立時から5年間の累積で政府出資金24.0兆円(国立大学法人含む)が投入されている。政府出資金は、貸借対照表上、資本(資本金+剰余金)の中に組み込まれる。健全な経営が行われている場合は、剰余金によって資本が積み増しされ、資本と政府出資金の関係は「資本≧政府出資金」となる。しかし、分析対象となった114法人のうち、半数近い54法人は、政府出資金の額が資本を上回っていた(資本<政府出資金)。これら法人には総額7.0兆円の政府出資金が投じられており、このうち1.8兆円が赤字によって食いつぶされていることになる。

 独立行政法人にはまた、毎年、運営費交付金等が交付されている。2005年度には、この年の一般歳出49.3兆円の1割にあたる、総額4.2兆円が投じられた。さらに2割の法人は、収入の90%以上を運営費交付金等に頼っているという実情も明らかになり、「そもそも(独立行政法人として)外出しする意味があったのか」(同常任理事)と疑問を投げかけている。このほか、独立行政法人が国債や地方債の受け皿になっていることも指摘。地方債の引き受け手がなれば、自治体の「借金漬け」を回避することも可能だったかもしれないとして、強い問題意識を示している。

 独立行政法人と国の業務に重複がみられることや、官僚の天下りがあることなどからも、同常任理事は、「財政が厳しい折には、消費税の税率を引き上げるしかないという限定された議論をするのではなく、今回明らかとなった独立行政法人の問題など、無駄の見直しを含めた幅広い議論を行うべきだ」と述べた。

 なお、本分析結果にかかるワーキングペーパーは、日医総研のホームページ
http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=340 )を参照のこと。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)

※定例記者会見資料はこちらから⇒
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