白クマ
日医白クマ通信 No.589
2007年2月8日(木)


定例記者会見
「堀病院事件に対する起訴猶予の裁定を評価」

木下勝之常任理事


 平成14年および16年の厚生労働省医政局看護課長通知により、「内診は助産行為である」と突然通達され、それ以降「内診」は、医師もしくは助産師のみに認められることになった。この内診を看護師らに行わせていたとする、いわゆる堀病院の無資格助産事件において、横浜地検は、2月1日、保健師助産師看護師法違反の疑いで書類送検された11人を起訴猶予とする裁定を下した。

 これを受けて、木下勝之常任理事は、7日、日医会館で記者会見を開催し、「この裁定は、現在の周産期環境を考慮したもので、産科における看護師業務のあり方等、産科・周産期医療に構造的な問題があるとの認識に立って下されたものと考える」と述べ、今回の裁定により「地域の周産期医療の崩壊に拍車がかかることが防げた」と評価した。

 同常任理事は、日医総研の調査によると、この看護師の内診を許さない現状を最大の理由として、全国の産科診療所の19.6%が将来的には分娩を行わないことを考えていると回答していると指摘。また、助産師の絶対数が不足しており、特に地方では、助産師がいない診療所は18.6%もあり、この問題は極めて深刻になっていると、周産期医療をめぐる現況を説明した。

 そのうえで、同常任理事は、分娩は医師が介助することが当然であるが、看護師が医師の指導のもとで、内診・報告することを安心して行える環境を整備するなど、現実を踏まえた対応を要請していくことを明らかにした。

 また、ひとつの診療科が崩壊すると、すべての科にひずみが出るとの観点からも、日医としては、この問題に全力で取り組んでいくとの考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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