白クマ
日医白クマ通信 No.625
2007年3月30日(金)


栃木県医師会 栃木県医師会勤務医部会研修会
「医療崩壊をどう食止める!」−私たちはどう闘うべきか?−を開催

 栃木県医師会、足利市医師会、佐野市医師会共催による標記研修会が、3月9日、栃木県足利市内で開催された。

 本研修会は、栃木県医師会会員のほか、非会員の先生方にも勤務医問題、わが国の医療の現状等に関する講演を通して、開業医と勤務医の一致団結した活動の必要性を知ってもらい、非会員には一人でも多く医師会並びに勤務医部会に入会していただくこと、また、医師会員には、勤務医部会に入会していただくこと、また、勤務医部会会員にはさらに深く認識してもらうことを主目的として企画されたものである。

 今回は昨年4月の勤務医部会発足後、最初の研修会であったが、県外からの参加者を含め約100名の参加があった。

 研修会冒頭、福田健勤務医部会長から「苛酷な勤務医の労働環境のため地域中核病院から医師が立ち去り開業に走ってしまうケースが全国的に増えてきており、地域医療の崩壊、無床診療所の乱立現象が起こっている。これは、国民、県民にとって由々しき状態であるばかりでなく、医師にとっても切実な問題である。この問題は開業医、勤務医のみでは解決できず、両者が車軸の両輪となって取り組まねばならない。医師会は国民に広く認知されている医師団体であるので、その中において、開業医と勤務医が手を取り合って活動していくのが最も効果的な方法であると確信している」と挨拶が述べられた。

 続いて、青木公平足利市医師会長から、「今、地域医療が崩壊に近い状態になっている。勤務医の過重労働が騒がれる中、特に安足地区は佐野市民病院の運営問題の影響もあり、足利赤十字病院並びに佐野厚生総合病院に二次救急輪番体制の負担がかかった上に、患者さんが集中してしまい、過重労働の勤務医に追い討ちをかける状況に陥っている。このことに対して、足利市医師会としては、初期救急を出来るだけ医師会でやっていき、病院の機能が保てるように努力していきたいと考えている。また、こういった医療問題を訴えていく上で、国民や行政の理解が必要であり、そのためには医師会の組織率を上げることが不可欠と考える」との挨拶があった。

 次に、秋山欣次佐野市医師会長は、「佐野市では平成15年から約4年近く佐野市民病院を運営してきた。しかし、18年度には10億の赤字を出してしまい、運営が市民の血税で補っていることを考えると、このまま運営を続けることが困難となっている。平成16年度から開始された臨床研修医制度の影響で、大学から派遣医師の引き上げがあり、現在、8名の医師での診療となり、救急も入院も受け入れることができない現状となっている。また、佐野市医師会病院も医師不足、看護師不足が深刻化され、今後の運営が厳しいものとなっている。両毛医療圏は医療崩壊という危機感を非常にもっている」と挨拶した。

 次に、メーンイベントである、埼玉県済生会栗橋病院副院長、NPO法人医療制度研究会代表理事の本田 宏先生による、「医療崩壊をどう食止める!」−私たちはどう闘うべきか?−の講演が行われた。

 本田先生の熱のこもった講演は聴衆を魅了し、皆、熱心に聞き入った。

*講演要旨は栃木県医師会ホームページに掲載されております。
 http://www.tochigi-med.or.jp/kinmuibukai/190309.pdf

*栃木県医師会勤務医部会勤務医部会のページも是非ご覧ください。
 http://www.tochigi-med.or.jp/kinmuibukai/index.html

(文責:栃木県医師会広報担当理事 前原 操)

◆問い合わせ先:栃木県医師会 教育・福祉課 TEL:028-622-2655


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