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| 定例記者会見 中川常任理事 財政審「医療制度の現状と課題」についての問題意識と日本医師会の主張を示す |
同常任理事は、まず、「財政審が、『医療コスト構造の改革については、給付の具体的な抑制』（財政審資料74ページ；以下ページのみ記載）を目的としており、根本的な部分で受け入れられない」と断じた。そのうえで、個別にも現状認識で相容れない部分があるとし、(1)医療費の動向、(2)終末期医療、(3)後発医薬品、(4)包括払い化、(5)保険免責制―の５点を特に問題とする論点として挙げた。 (1)医療費の動向：「診療報酬改定や制度改正がなければ、医療費の伸びは概ね3〜4％で推移」（同資料５ページ）とあるが、厚生労働省の過去の報道発表では、最近の自然増等は２〜３％台である。また、「医療機関の収入も制度改正や診療報酬引下げがなければ毎年３〜４％増加」（同資料14ページ）とあるが、「診療報酬＝医療機関の取り分」ではない。国民医療費32.1兆円中、病院（16.5兆円）、診療所（7.9兆円）、歯科診療所（2.5兆円）で計26.9兆円であり、そのうち、製薬メーカー等へ46.7％、医療機関の給与費は49.1％に過ぎず、残りのわずか4.2％を支払利息・税金・再生産費用に充てているのが実情である。 (2)終末期医療：「死亡前1カ月の平均医療費112万円」「1年間にかかる終末期医療費約9,000億円」（同資料30ページ）に対しては、医療経済研究機構が平成12年（データは平成10年のもの）に行った試算を基に厚労省が推計したもので、信頼性に疑問があるとした。一方、日医総研の緊急調査（平成18年度分）では、急性期の病院でも高齢者の死亡30日以内医療費は１人１カ月84万円であった。終末期医療費が過大であるかのような誤解を導くデータを基にして終末期医療のあり方を議論する前に、改めて現状の調査・分析が必要。 (3)後発医薬品：「後発医薬品のある先発品を全て後発品に振り替えた場合、国民負担額は約1．3兆円減少」（同資料36ページ要約）に対しては、「平成18年度診療報酬改定結果検証に係る調査後発医薬品使用状況調査」（４月中医協資料）」で明らかなように「『後発医薬品への変更可』欄に処方医の署名等がある処方せん枚数」のシェアは17.1％と低率なのが現場の実態であり、すべて振り替えられるというのは「大胆な仮定」だとした。さらに、日医実施の「ジェネリック医薬品に関わる緊急調査」結果によれば、医療現場での後発品に対する不安は大きい。基盤整備が不十分な現状では、安全性と品質の確保が先決である。 (4)包括払い化：「包括払い化はコスト是正に有効な方策」「予め包括化に伴う医療機関におけるコスト低減効果を診療報酬に織り込む必要」（同資料71ページ要約）に対しては、包括払い化の問題点として、ａ．患者の病態に応じた最善の医療を妨げる ｂ．医療費の総枠抑制が可能になる ｃ．医療費の実態の把握が困難になる―を挙げた。 (5)保険免責制：過去の「建議」における主な指摘事項として記載された「一定金額までの保険免責制の導入」（同資料75ページ）に対しては、格差を助長し、若年層の公的保険離れ（保険料未払い）にも直結すると指摘。さらに、免責1,000円が導入されれば、１人１日当たり入院外医療費に占める自己負担割合は、一般4.1割、老人2.2割になるという試算を示し、これで社会保障制度としての公的保険と言えるのかと強く批判した。 ◆問い合わせ先：日本医師会総合医療政策課 TEL：03-3946-2121（代） ◇定例記者会見資料はこちらから
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