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定例記者会見 「行き過ぎた歳出改革の是正を求める―中川常任理事」 |
医師が「偏在か不足か」という問題について、同常任理事は、偏在ではなく、絶対数で不足していることが明らかになってきたと指摘。その直接的な要因としては「新医師臨床研修制度」と「医療訴訟の増加と刑事訴追」があり、本質的な要因としては「長期にわたる医療費の抑制」が考えられるとした。また、その対策については、緊急的対策(医療現場を守る診療報酬の引き上げ、医師の就業環境改善のための財政的措置、臨床研修募集定員の適正化、医学部定員地域枠の拡大と奨学金制度の充実)、短期的対策(医療上の問題における刑事訴追の限定化)、中期的対策(大学医学部定員の適正化、医師の再就職支援等)―を考えていることを明らかにした。さらに、勤務医不足の解消と開業医の適正な評価のためには、財政中立を脱却した新たな財源が求められるとの考えを示した。 同常任理事は、また、「骨太の方針2006」に明記された「社会保障費を今後5年間に国と地方合わせて1.6兆円削減する方針」について触れ、「骨太の方針2007」では、具体的な数字こそ示されていないが、引き続き警戒が必要であると述べた。さらに、過去5年間(2002年度から2006年度)の社会保障費の削減額を基に、今後5年間(2007年度〜2011年度)の改革効果を日医で推計した結果を概説。2008年4月から実施される「70から74歳の高齢者の患者負担の見直し」「医療費適正化計画」「後期高齢者医療制度の創設」などによって、約4兆円の削減が見込まれることが明らかになったとしたうえで、「社会保障、特に医療は行き過ぎた改革になっている」とし、その是正を強く求めた。 さらに、同常任理事は、先進国並みの医療費水準を実現するためには医療費を増やす必要があるとし、その財源については特別会計を含めた国家財政全体のさらなる見直しを行うことで捻出することを改めて提案した。 ●医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム等の問題点を改めて指摘
なお、同日の記者会見で中川常任理事は、厚労省が作成し、「骨太の方針2007(素案)」のなかにも書き込まれた「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム等」に言及。平均在院日数の短縮、在宅医療・在宅介護の推進と在宅政策との連携、「総合的な診療能力を持つ医師」の養成、後発医薬品の使用促進、DPC対象病院の拡大、オンライン請求の義務化―等の具体的な項目を挙げて、その問題点を明らかにし、再度、日医の見解を述べた。
◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)
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