白クマ
日医白クマ通信 No.673
2007年6月14日(木)


定例記者会見
「コムスン」の指定取り消し等について−中川常任理事

中川常任理事


 中川常任理事は、6月13日、日医会館で行われた記者会見で、コムスンの介護事業所の指定取消し等の問題については、日本医師会がかねて主張してきた、株式会社が医療・福祉を「経営」することの問題点が現実化したものであり、「株式会社の参入により、医療・福祉の分野に営利追求型の市場原理主義を持ち込むことの誤りが明らかになった」との日医の見解を示した。

 同常任理事は、「株式会社の効率性追求が行き過ぎると、サービスの低下や採算の合わない地域からの撤退など、利用者へ直接被害が及ぶことになる。1日でも介護サービスの提供が滞れば、重大な危険を伴う利用者もいるということを、介護事業所は常に認識しなければならない」とし、また、2005年10月時点で、介護全事業所に占める営利法人立の事業所の割合は33.5%であること、一方、2000年4月から2006年12月までの間に指定取消となった事業所のうち66.9%が営利法人立という結果となっていることを資料で示し、これらのことからも、営利性や効率性の追求がもたらす弊害を垣間見ることができると述べた。

 そのうえで、「今回の一連の事件におけるコムスンの責任の重大さは言うまでもないが、合わせて『福祉の市場化』を容認した国の責任も問われてしかるべきであり、いまこそ国は、医療、保健、福祉(介護)分野における市場原理主義導入の誤りを改めて認識し、医療分野における株式会社参入や安易な市場化テスト導入への流れを転換すべきである」と国の政策を改めて非難した。

 さらに、コムスンが当初、グループ会社間の事業譲渡により、対応を図ろうとしていたことに言及。「医療法人であれば、介護事業所は一度廃止され、事業再開の場合は、改めて新設の手続きを踏むしかない。コムスンが行おうとしていたグループ内の事業譲渡を営利法人に認めることになれば、ダブルスタンダードが形成され、開設主体の違いによる差別につながる。厚労省は本件に関する方針を明確に説明すべき」と主張した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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