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定例記者会見 「終末期医療費は高額との考えに反論―中川常任理事」 |
今回の調査・分析は、厚生労働省が、いまだに1990年、1991年の社会医療診療行為別調査を基にして行われた研究を使用しているなど、最近の終末期医療費に関する明確なデータが示されていないことから、その実態を把握することを目的として実施したものである。急性期、慢性期の偏りをなくすために、3病院から抽出した2006年度中に死亡した75歳以上の入院患者403人を対象としており、死亡日から遡って30日分の入院レセプトを分析している。 同常任理事は、実態を把握するために試行的に行ったものであるとしながらも、調査・分析の結果、(1)急性期のまま死亡するケースでは、入院期間が短いので、終末期の1人当たり医療費総額は156,800円に止まること。他方、入院期間が180日以上のグループでは、1人当たり医療費総額が一定の値に収斂されており、診療行為がやや変化していることが示唆されること、(2)終末期の1日当たり入院医療費の単価は、平均31,800円であり、後期高齢者の入院医療費単価(死亡以外の退院も含む)の平均21,500円と比べても1.48倍で、突出して高いとは断定しにくいこと。さらに死亡前の入院期間が180日を超えて死亡に至ったケースでは、終末期1日当たり単価は、入院医療費平均の21,500円を下回っていたこと、(3)今回の調査結果を基に、高齢者の医療費全体に占める終末期の入院医療費を試算したところ、約4,600億円で、この数値は、2005年度の高齢者(70歳以上)の医療保険医療費(入院・入院外)13.3兆円の3.4%に過ぎないこと―が明らかになったと説明した。 以上のことから、同常任理事は、仮に医療費抑制のために終末期の医療を限定すべきという意見があったとしても、医療費の観点から言えば、治療を縮小すれば効果があるという理由は見受けられないと強調。また、厚生労働省に対しては、「社会医療診療行為別調査」を実施し、データを保有しているのであるから、それを基に最近の終末期医療費の実態を早急に示すべきと主張した。 なお、今回の調査の詳細については、日医総研ワーキングペーパーNo.144「後期高齢者の死亡前入院医療費の調査・分析」を参照されたい。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) ◇定例記者会見資料はこちらから
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