日医白クマ通信 No.71 2005年2月16日(水) |
平成16年度医療政策シンポジウム 「国民皆保険制度下の医療提供体制」を議論 |
平成16年度医療政策シンポジウムが、2月13日、日医会館大講堂において、櫻井秀也副会長の司会で開催された。
冒頭、植松治雄会長から、「現在の医療改革は、あたかも財政主導、医療費抑制でなければ改革でないというように進められているが、国民に安全で安心してもらえる医療をいかに提供するかが大切だ」とあいさつがあった。
次に、田中滋慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授により、「国民皆保険制度下の医療提供体制」と題する基調講演が行われた。田中教授は、米国における医療制度について、株式会社病院の不祥事、自由価格医療制度下での医療費高騰などを紹介し、自由経済によって、非合理的でコストのかかる体制になっていると指摘。医療には、「自助」「互助」「公助」に加え、「公益」の概念が不可欠で、さらに互助の近代的見直しとしての「共助」が必要であることや、上位目的の効率的達成のための公益セクターの位置づけとして、医療・介護・福祉・教育があることなどを解説した。そのうえで、公益セクターとしての国民皆保険制度におけるフリーアクセスの意味について、患者さんは医療ニーズによってバリアフリーに医療へのアクセスができるという意味であって、患者さんが自分の好みでフリーに医療にアクセスしても良いという意味ではないと述べた。
つづいて、パネルディスカッションが行われた。対馬忠明健康保険組合連合会専務理事は「保険者から見た医療制度改革」、中田義隆筑波メディカルセンター長は「地域医療支援病院としての現状と課題」、永井良三東京大学医学部附属病院長は「医療機関の機能分担と大学病院の役割」、奈良昌治日本病院会副会長は「病診・病病連携への悩み」について論じ、寺岡暉副会長は、医療を地域住民および医師の視点などで捉えなおす必要があるとしたうえで、地方の医師不足、医療の質や安全対策の対価確保などの問題点を指摘した。
その後、参加者との質疑応答が行われ、宮崎秀樹副会長の閉会挨拶で終了した。
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