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中央社会保険医療協議会「小児医療の評価見直しへ」 |
基本問題小委員会では、7対1入院基本料についての検討が行われた。本年1月に中医協から提出された建議書を受けて、厚労省が、急性期入院医療における看護職員配置と看護必要度に関する実態調査結果を示した。ハイケアユニット入院医療管理料で用いる評価票による患者の「重症度・看護必要度」を指標として、看護配置基準別(7対1、10対1、13対1)に看護必要度の調査を行ったが、結果としては、治療・医学的処置の内容について、当該基準間での差異が認められなかった。また、患者のADLの状況、療養上の世話の内容については、13対1届出施設において平均値が最も高かった。この結果については、10対1、13対1届出施設の回答率が低いため実態を表しているのか、との指摘があった。また、ハイケアユニット入院医療管理料に係る評価票は、急性期一般病棟で通常実施されている治療や処置等が考慮されていないと推測されることから、よりきめ細かい調査を基に指標を見直し再度検討することとなった。 鈴木満常任理事は、厚労省が示した昨年5月1日現在と本年5月1日現在の一般病棟入院基本料を算定する医療機関数及び病床数との比較から、7対1入院基本料導入の影響により、165病院・18,111病床が減少し、地域で住民が医療を受けられなくなっていると、懸念を示した。また、特定機能病院については、これ以上7対1を拡大し、混乱させないように、実態に即した形で、評価すべきと発言した。 竹嶋康弘副会長は、高度の医療の提供等の特定機能病院の本来の要件を示し、交付金や補助金などの収入がある特定機能病院と一般病院を、同じ扱いで容認してもよいか、再考する必要があると強く主張した。 小児医療については、小児入院医療管理料について、医療上の必要性から、実際に現行の施設基準以上の人員が配置されている施設に対する診療報酬上の評価を行うことが提案された。 竹嶋副会長からは、小児科医の集約化・重点化による手厚い人員配置の評価は県立こども病院などが対象となるが、一方で、地域における医療へのアクセスが悪くなるおそれがある。小児は状態が変化しやすい特徴があるので、小児専門病院に偏重することなく、初期医療外来への対応も併せて議論すべきと対応を求めた。 その他、支払側委員からは、診療報酬上の評価として、病院だけではなく、勤務医個人の苦労に報いる対応も考えるべきとの声が挙がった。 薬価専門部会では、薬価算定に関して、小児・希少疾病など、採算性に乏しい医薬品の評価について小児加算や市場性加算の検討が行われ、新薬収載時に小児・希少疾病の効能を有していても、薬理作用類似薬があるために加算の対象とならない場合があることや、小児・希少疾病の効能追加について評価する仕組みがないことが示された。 鈴木常任理事からは、小児医療に関係する学会から、小児は使用できる医薬品に制限があり、実際の診療に支障を来たしているとの声が寄せられている旨発言があった。このほか、部会全体としては、小児・希少疾病薬に係る加算について前向きな検討を願う声が多く、おおむね一致した意見となった。 最後に、8月1日の薬価専門部会において、飯沼常任理事が後発医薬品に関する、薬学上の文献に関する調査を依頼したことを受けて、医薬工業協議会から、文献調査の結果が報告された。そのなかでは、直近3年間で40件の後発医薬品の品質・臨床(有効性・安全性)に関する報告があり、品質関係として、注射剤の不純物の量に関するものなどがあったが、公定規格から外れるものではなかったこと、臨床関係として、報告された副作用はすでに先発医薬品の使用上の注意に記載されているものが多いことなどが説明された。これに対し、公定の規格に適合しているとして、口腔内崩壊錠の崩壊時間の違いや味覚等について特別な対応は不要というが、使用現場の信頼感としてはいかがなものか、と疑問を呈する意見があった。 次回以降の審議として、採算性に乏しい医薬品(古くても医療上有用で必須な医薬品など)の評価、後発医薬品の使用促進について検討が行われる。 ◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代) |
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