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第9回医療政策会議 「松田晋哉教授が高齢者医療について講演」 |
第9回医療政策会議(議長・田中滋慶大大学院教授)が10月17日、日本医師会館で開かれた。
唐澤会長のあいさつに続いて、松田晋哉講師(産業医科大医学部教授)が「国民医療と財源のあり方〜高齢者医療を中心に〜」と題して講演を行った。
松田教授は、「日本の医療政策は『質』『コスト』『アクセス』のうち、コストとアクセスを中心にした対策がとられてきている。医療の質への関心が高まっているが、そうなるとコストを高める(医療・介護費を膨らませる)か、アクセスを制限する(機能分化、ゲートキーピング)しかない」として、アクセスについての諸外国の対応を説明。そのうえで、高齢者医療制度をどのように考えるにしても、医療費増の主因は高齢者人口の増大であり、医療費総額を推計するための枠組が不可欠だとした。
また、長期の療養を必要とする高齢者における医療と介護の区分の難しさに触れ、地域医療支援病院では、高齢者施設からの救急搬送が増えており、看護ケアが充実していない高齢者施設の増加によって救急医療がゆがめられているという状況を指摘。さらに、在宅に移行した高齢者のケアを看護師が行う仕組みをつくっていくことの重要性を説き、受け皿が十分でない状態での療養病床削減に危機感を示した。
さらに、ADLレベルが悪くない高齢者が療養病床から退院を希望しないのは、生活の安心感やいきがいが不足している場合が多いとして、医療機関が地域に積極的にアプローチし、たとえばコミュニティレストランといった高齢者が集える場所をつくるなど、地域の安心を保障する社会的インフラとしての役割を求めた。
DPCについては、「単なる支払の道具ではなく、同じデータを厚生労働省・保険者・医療サービス提供側が共有するという、情報の標準化と透明化に本質がある」と強調。DPCを用いることによって地域の傷病構造も推計することが可能だとし、DPCデータを収集・分析する中立的な情報機構が必要だとした。
その後の質疑応答では、DPCデータが医療費の抑制のために用いられるのではないかとの発言に対し、松田教授はDPCの制度が健全に運営されるためにも独立した情報機構を設ける必要性があることを再度強調し、医療計画との整合性がとれていない現状で、DPC対象病院が急速に拡大していることに危機感を示した。
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