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中医協基本小委(11月7日) 有床診療所入院基本料の引き上げを求める―日医 |
竹嶋康弘委員(日医副会長)は、11月7日に開かれた中医協診療報酬基本問題小委員会で、有床診療所の入院基本料の引き上げを求めた。
当日開かれた基本小委では、「入院医療の評価のあり方」「有床診療所の評価」について議論が行われた。
「有床診療所の評価」に関しては平成18年の医療法改正に伴い、48時間の入院時間制限が撤廃されたことに伴って規定された「入院患者の病状の急変に備えて診療の医師が速やかに診療を行う体制」ならびに「手厚い夜間の看護体制」に関して、診療報酬上の評価を検討してはどうかとの考えが示された。
竹嶋委員は、日医作成の資料を基に、有床診療所が地域医療のなかで果たしている役割の重要性を指摘するとともに、昨今、報酬上の評価が低いために有床診療所の無床化が進み、過去20年間でその数が半減している現状を説明。このままでは地域住民は入院のアクセスポイントを失い、フリーアクセスの崩壊につながりかねないと訴え、有床診療所の一般病床の入院基本料について、前回改定で入院患者の多くを占める8日以降のほとんどと15日以降のすべてで引き下げとなり、療養病床入院基本料の医療区分1よりも低い入院料になっていることを問題視。有床診療所の病床を社会資源として有効活用するためにも、その引き上げを求めたいとの考えを示した。
鈴木満委員(日本医師会常任理事)も有床診療所の機能が非常に多彩であることや、31日以降の入院料があまりにも低い点数であることを指摘した。
支払側からは夜間や在宅への対応など、有床診療所の実態が分かる資料を示して欲しいとの要望が出され、引き続き議論を行っていくこととなった。
「入院医療の評価のあり方」に関しては、特殊疾患療養病棟入院料ならびに障害者施設等入院基本料について、その届出を行っている医療機関に対するアンケート調査の結果を基に、現行基準の見直しが提案された。
平成18年度改定で療養病床における特殊疾患療養病棟入院料は、医療区分の導入により廃止され、当該入院基本料を算定していた療養病床が、療養病棟入院基本料を算定する病棟(一般病床、精神病床)に転換する場合には、当該病棟に入院していた患者を平成20年3月31日までは医療区分2、3と見なす経過措置が設けられていた。また、一般病床、精神病床についても、経過措置を設けたうえで、平成20年3月31日限りで廃止することになっていた。
今回のアンケート結果によって、本来想定していた手厚い医療が必要な障害者や難病患者等とは異なる患者(特に脳梗塞等に伴う障害を持つ患者)が多く入院していることが明らかになったことから、この入院料の本来担うべき対象を明確化し、必要な医療機関については特殊疾患療養病棟入院料および特殊疾患入院医療管理料の算定を継続する。また、経過措置に関しても、患者の看護のため手厚い看護配置を行っている病棟に入院している患者については、さらに延長するとの考えが示された。
一方、障害者施設等入院基本料についても、アンケートの結果、必ずしも医療ニーズが高くない患者が多く入院していることが分かったことから、障害の程度だけではなく、医療の内容から本来対象とすべき疾患を明確にする等、現在の基準の在り方を見直すことが提案された。
この提案に対して、鈴木満委員は、今回の見直しによって、施設や病棟から出なければならなくなる患者さんが行き場を失うことがあってはならないとし、十分な配慮を求めた。同時に、医療区分1がコストに見合った点数になっていないことも問題であり、検証結果を踏まえた是正が必要であると指摘した。
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