白クマ
日医白クマ通信 No.783
2007年11月12日(月)


中医協基本問題小委(11月9日)
「処方せん様式の見直しを条件付で容認―日医」

 中医協診療報酬基本問題小委員会が、11月9日、厚生労働省で開催され、「後発医薬品の使用促進のための環境整備」について議論が行われた。日医は、医師の処方権の全面的な尊重と処方せん様式(案)の変更の工夫を前提に、現在の処方せん様式を変更することを認め、加えて、処方せん料を一本化することによって捻出される財源を勤務医の過重労働解消のための手当てとして使うよう意見表明した。

 「後発医薬品の使用促進のための環境整備」に関しては、10月17日に一度議論がなされているが、診療報酬改定結果検証に係る特別調査の「平成19年度後発医薬品の使用状況調査」の速報が11月7日の検証部会において取りまとめられたことから、再度議論が行われることとなった。

 当日はまず、中医協事務局から「平成19年度後発医薬品の使用状況調査」の結果(後発医薬品の処方について、「積極的に処方」または「特にこだわりがない」としている医師が全体の8割を超えていた)や、後発医薬品の選択に関する消費者の意識(「医師や薬剤師から安全性や効き目について説明を受けて納得できた場合には後発医薬品を選ぶ」消費者が78.1%)などについて説明が行われた。

 そのうえで、当日は、処方せん様式の見直しとして、(1)処方医が、処方せんに記載した先発医薬品を後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合には、「後発医薬品への変更不可」欄に署名等を行う方式に変更する(2)処方医が、処方せんに記載した一部の医薬品について、後発医薬品等への変更に差し支えがあると判断した場合には、医薬品の銘柄名の横に「変更不可」と記載する―との案が示された。

 議論のなかでは、はじめに、鈴木満委員(日医常任理事)が、本年9月と10月に日医が実施した「後発医薬品の使用に関するアンケート調査」の結果を報告。後発医薬品に全く問題がないわけではなく、現時点において全面的な使用促進を図ることはリスクが大きい。処方せんにおいて、銘柄指定するなど、医師の裁量権と責任を明確にする必要があるとの考えを示した。さらに、後発医薬品は、ロット番号による品質の確認ができていないとの問題点も指摘した。

 竹嶋康弘委員(日医副会長)は、後発医薬品には品質などの問題もあるが、支払側からの要望や、消費者の意識の変化があることも踏まえ、処方権の全面的な尊重と様式(案)の変更の工夫を前提として、現在の処方せん様式を見直すことに賛成するとの考えを明示。加えて、後発医薬品の使用促進に向けられていた財源を、勤務医の過重労働の解消に使って欲しいと要望した。

 本件については、今後、様式変更の内容、剤形変更、安定供給、薬剤師の責任などの問題などについて、さらに検討していくこととなった。

 当日は、その他、「訪問看護の充実」「在宅医療を支援する病院の評価」「疼痛緩和の推進」について議論が行われた。

 「訪問看護の充実」については、後期高齢者医療の議論のなかで、すでに退院前後の支援、24時間体制での支援、患者の状態に応じた訪問、終末期の手厚い看護の評価などに関して検討したが、75歳未満においても同様に評価してはどうかとの考えが示され、診療・支払両側から賛意が示され、この方向で検討が進められることになった。

 「在宅医療を支援する病院の評価」では、周囲に在宅支援診療所等の医療機関がなく、在宅医療の主たる担い手が病院である地域においては、一定の要件を満たした場合、これを評価してはどうかとの提案が出された。

 議論のなかでは、要件を緩和してその「担い手」を広く病院にも認めるべきとの意見と、病院に許すことで病院が患者を抱え込んでしまうのではないかとの懸念が示された。今回の議論は、病診連携と機能分化を前提として、在宅療養支援診療所がない地域をどうするかの検討であることが確認され、この件に関しては、引き続き議論していくこととなった。

 「疼痛緩和の推進」では、(1)介護老人保健施設や介護療養病床においても、がん患者の疼痛緩和のために、医療用麻薬を保険医療機関の医師が処方した場合には算定できるようにすること、(2)保険医療機関の医師の処方せんに基づき、保険薬局で交付することができる注射薬および特定保険医療材料に、必要な注射薬およびバルーン式ディスポーザブル連続注入器を追加すること―が提案された。

 これに対して、鈴木委員は、24時間の看護職員配置を必須の要件としていない老人保健施設で、麻薬の管理が野放図な状態にあることの危険性を指摘。管理上の問題からも、再度の検討を要求した。

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