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中央社会保険医療協議会(11月14日) 「手術、糖尿病、次期診療報酬改定への議論」 |
基本小委では、(1)手術、(2)糖尿病対策―について検討が行われた。 (1)手術については、「手術に係る施設基準等調査分科会」から中間報告が行われた。平成18年度診療報酬改定時に、手術件数と手術成績の間に相関関係を示す科学的知見がないとして、年間手術件数による手術点数に対する加算をいったん廃止するとともに、医療機関や医師の手術件数等と手術成績の関係を調査する分科会が平成18年7月に設置された経緯がある。 分科会の報告では、現在までの検討において、手術件数と手術成績との間に一定の相関関係を結論づけられるようなデータが得られていないことが示された。 竹嶋康弘委員(日医副会長)は、予後5〜10年見ていく必要があり、例えば人工関節を挿入する年齢が異なれば予後も異なり、この問題は慎重に検討していくべきと述べた。 他の委員からも、調査の分析の重要性を示す発言があり、分科会からの報告書が作成された上で改めて検討を行うことになった。 (2)糖尿病対策については、a.生活習慣病管理料、b.糖尿病ハイリスク患者のケアの充実、c.人工腎臓の3点が検討された。 a.では検証部会の報告により、患者の負担増や計画書の記載内容が増えたため、生活習慣病管理料を算定していない医療機関があるとの結果に加え、今後より一層生活習慣病対策を進めるために、患者負担も考慮した上で適正な評価としてはどうかとの提案がなされた。 b.では、医師の指示によるフットケアなどの専門的な指導に対する評価の在り方が検討され、c.では、透析時間に応じた点数評価を行うことについて検討が行われた。 鈴木満委員(日医常任理事)は、生活習慣病の指導は、医師が普段の診療で行っていることから、指導料という形で評価できないかとの発言や、透析に必要な時間は、患者の体格や筋肉量により異なるため、考慮すべきであると述べた。 竹嶋委員は患者へ説明する立場から、透析時間による評価変更を行うエビデンスを示すよう要請した。 総会では、次期診療報酬改定への議論として、厚労省より、平成18年度診療報酬改定以降の賃金・物価の動向が示された。平成18〜19年度の集計では、賃金の動向に関しては、0.7%増(人事院勧告)、物価の動向に関しても、0.7%増(消費者物価指数)となり、賃金や物価は増加傾向であることが示された(参考:平成16〜17年度の集計では、賃金の動向は±0.0%、物価の動向は0.2%減)。 このほかに、10月30日に中医協で報告された、第16回医療経済実態調査結果速報に対する健康保険組合連合会からの分析資料が提出された。これに対し、中川俊男委員(日医常任理事)は、日医が中医協総会に提出した資料「医療経済実態調査の問題点と医業経営の実態について」から実調の問題点を改めて述べ、健保連の分析に対して疑問を呈した。 現行の実調が単月調査のアンケートであること、年ごとにバラツキがあることなど問題が指摘された上で、病院経営が苦しくなってきていることが共通認識とされ、一方で診療所でも赤字になれば医療提供ができなくなること、医療崩壊が進んでおり、医師従事者の元気が出るような改定を中医協として打ち出して行くべき、診療報酬だけの手当ての限界などの指摘があった。 今後は、診療・支払両側からの改定に対する意見書を提出し、それらを踏まえながらの議論となる。 ◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代) |
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