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中央社会保険医療協議会(11月16日) 「検査・精神医療に関する評価見直し」 |
「検査の評価」では、(1)検査料等の評価体系、(2)病理学的検査診断・判断 料―について、現状と課題が示された。論点として、(1)では、「迅速に検査を 行う体制や24時間実施できる体制等について重点的な評価を行うこと」「一部 のコストに見合わず受託検査所が減少している検査項目等については、実勢価 を踏まえつつも再評価すること」が、(2)では、「病理の重要性に鑑み、診療報 酬点数表上の位置付けについて配慮すること」「病理における新規技術の評価 や既存技術の評価の見直しは、医療技術評価分科会および先進医療専門家会議 における検討を踏まえつつ対応すること」が挙げられた。 (1)について、竹嶋康弘委員(日医副会長)は、精度が落ちることになること はあってはならないとし、全体的な議論の必要性を指摘した。また、鈴木満委 員(日医常任理事)は、再評価のために判断料を引き下げるべきではないと述 べた。 「精神医療」では、(1)入院医療、(2)外来医療、(3)精神科救急医療、(4)薬 剤処方日数―の4点について、それぞれ現状と課題が示された。 (1)では、中医協事務局が、平成16年から「精神保健医療福祉の改革ビジョン」 により、“入院医療中心から地域生活中心へ”という基本方針のもと、10年後 に「受入条件が整えば退院可能な者」の解消を図り、精神障害者の地域移行に 取り組んできたと説明。精神病床の入院患者と、認知症患者、精神病床におい て身体的な治療を必要とする合併症患者や一般病床において精神科治療が必要 な患者等の入院医療、さらに、医療法上は「当分の間の経過措置」として認め られている、精神病床の“25対1の看護配置”は、診療報酬では、“特別入院 基本料”に当たるが、経過措置として認められている平成20年3月31日以降算 定できなくなる―などの現状と課題が挙げられた。 これを踏まえて、a.退院調整の実施など、地域移行を進める医療施設の取 組 b.入院が長期化しないようにする精神科退院前訪問指導の充実 c.退 院後、一定の要件のもとに、精神科訪問看護の算定回数(現在週3回)を緩和 d.認知症患者に対する、より手厚い医療の提供や合併症の診療体制 e. 医療法上の取り扱いと整合性を図る観点から、特別入院基本料の経過措置を延 長―などが論点として示された。 (2)では、「患者特性や診療時間に応じた評価」が、(3)では、「精神科救急 に係る算定要件の見直し」と「入院初期からの退院調整の実施など、退院に向 けた取り組みを行う体制についての評価の充実」が、(4)では、「精神疾患患者 等の社会復帰の観点から、一部の必要な薬剤については30日処方に見直す」、 また、「医師が長期処方する場合は、当該薬剤の残薬と重複処方の有無につい て患者に確認することを義務付ける」―などが、それぞれ論点となった。 鈴木委員は、(1)に関して、認知症患者の行き場が確立されているのかと指 摘。竹嶋委員が、退院後の受け皿の整備を強く要望した。さらに、(2)に関し、 鈴木委員は、時間よりも診療内容が大事であり内容を加味した算定を求めた。 また、認知症の診断について8か月待ちという状況もあることを紹介した。 竹嶋委員は、(3)で、精神科救急入院料算定施設が全国35施設しかないこと を問題視、政策面の話ではあるが中医協として要望していく必要があると主張 した。 また、当日は、10月29日開催の社会保障審議会医療保険部会での「平成20年 度診療報酬改定の基本方針の検討」状況についての報告があり、平成18年度改 定の基本方針と同様の4つの視点、および重点事項(地域医療の確保・充実を 図り、勤務医の負担を軽減するための項目)に関する論点が提示された。 竹嶋委員は、「医療は日々動いている。医師の偏在と言われていたが、不足 との認識で一致した。このままだと少なくなり続けるので、どこかで戻さなけ ればならない。また、医療の本質である救急・産科・小児科を重点的に、それ にかかわる勤務医に何とか活力を持ってもらいたい」との考えを示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代) |
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