白クマ
日医白クマ通信 No.795
2007年11月27日(火)


社会保障審議会医療部会
「平成20年度の診療報酬改定の基本方針について議論」

 社会保障審議会医療部会が、11月22日、都内で開催され、当日は、「平成20年度の診療報酬改定の基本方針(案)」について、議論が行われた。

 平成20年度診療報酬改定の基本方針は、「3つの基本的考え方」「緊急課題」「4つの視点」からなっており、緊急課題として、「産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減」が挙げられている。

 会議の冒頭、竹嶋康弘副会長は、「地域医療体制は、有床診療所など、さまざまな形態によって支えられているが、現在はそれが崩壊しつつある。あるべき医療提供体制に関する方向性を議論したうえで、診療報酬改定についても議論すべきなのではないか」と、前回に引き続き、医療部会そのもののあり方について、疑問を投げかけた。

 中川俊男常任理事は、基本的考え方のなかで、前回改定時の基本方針を「基本的に継承すべきである」と表現していることを問題視し、「前回の改定率(マイナス)も継承すると読み取れる。昨今の医療を取り巻く状況を勘案し、文言を書き直すべき」と指摘。また、「質の高い医療を効率的に提供する」との表現についても、「適切に提供する」とすべきと主張した。

 事務局は、「“継承する”との表現は、金額ではなく、方向性のことである」と説明したが、同常任理事は、前回改定時の基本方針のなかに、「経済・財政とも均衡がとれたものとするために過大・不必要な伸びを具体的に厳しく抑制することを通じて、将来にわたり国民皆保険制度を堅持していく」と明示されていたことを指摘し、再度、文言の修正を求めた。

 さらに、診療所における夜間診療の評価について、「日中の報酬を夜間に充てるなど、財政中立の考えの下に調整されては困る」と述べ、文言の大幅修正を要求。また、「DPC対象病院の拡大等について、引き続き、検討するべき」と明記されていることについても、提出資料「医療現場の実態と診療報酬改定にむけての課題」を示して、その問題点を説明し、「拡大等との表現を削除して欲しい」と強く要望した。

 他の委員からも、「地域医療の崩壊を防ぎ、国民の負担を抑えるためにも、総医療費を増やすべき」「医療を取り巻く現状を認識し、文言に加えるべき」「安心・安全で適正な医療を提供するための方向性を示すべき」などの意見が出された。また、鴨下重彦部会長からも、医療費の抑制による現場の苦しみなど、医療現場の厳しい現状を文言として基本方針に盛り込むべきとの考えが示された。

 基本方針は、26日開催の医療保険部会、29日開催の第5回医療部会での審議を経て、最終取りまとめを行う予定となっている。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)


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