白クマ
日医白クマ通信 No.796
2007年11月28日(水)


定例記者会見「DPCの問題点と日医の見解」

 中川俊男常任理事は、11月21日の記者会見で、同日公表された、中医協診療報酬調査専門組織DPC評価分科会がまとめた、「平成19年度『DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価』中間報告概要」を基に、DPCの問題点と日医の見解を述べた。

 同常任理事は、まず、DPCという経済誘導により、平均在院日数が年々短縮している一方で、治癒率が大幅に低下し、再入院率が上昇していることを問題視し、このままでは患者が危険にさらされることになるとの危惧を示した。また、「データを分析することによって医療の質を高めることができる」、「出来高では不必要な医療が実施される」などのDPCを支持する意見に対しては、「DPCは支払いの一方法であり、医療の質の向上とは関係ない。DPC導入が医療の質を高めたという明確なエビデンスはない。また、包括払いでは、必要な医療が実施されない恐れもある」と反論した。「医療を標準化できる」との意見に対しても、「管理医療そのものであり、画一的な医療により、医師の裁量権が失われる。新たな医療、高度な医療へのインセンティブがなくなり、医療の平均水準が下がる」と批判した。

 さらに、同常任理事は、DPCは係数操作によって、実質的な急性期医療の総枠予算を抑制できる。急性期の病院が、すべてDPCに組み込まれることで管理医療へつながる可能性があり、慢性期の医療療養病床のように、医療区分1の点数を大幅に下げて誘導したようなことが、急性期でも容易に行われるのではないかとの強い懸念を示した。そして、予定されている調整係数の廃止は、民間病院の淘汰につながる危険性があり、また、機能係数の導入は、医療機関の機能を財源面から規定することになることも危惧されるとした。さらに、その結果として、医療提供体制は崩壊し、フリーアクセスは阻害されることになるとの考えを示した。そのうえで、同常任理事は、「日医としては、DPCの拡大の凍結、すなわち700弱の準備病院への導入を凍結し、DPCの問題点を十分検証したうえでDPCを終了すべきと考えている。また、日医はこれまで、DPCは特定機能病院に特化すべきと主張してきたが、まずはDPCを終了し、特定機能病院については、教育・研究といった、果たすべき機能・役割を勘案し、新たな評価指標を用いた新体系を創設すべき」と主張した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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