白クマ
日医白クマ通信 No.801
2007年11月29日(木)


定例記者会見
「財政制度等審議会の建議に対する日医の見解」
―中川俊男常任理事

 中川俊男常任理事は、11月21日の記者会見で、19日に財政制度等審議会がま とめた、「平成20年度予算の編成等に関する建議」に対して、日医が強く主張 する点について見解を述べた。

 「医療費抑制」については、(1)平成20年度予算の考え、(2)社会保障給付費 の予測、(3)医療費予測―の3点をあげた。

 (1)平成20年度予算の考えとして、医療費を中心に削減努力を行うとの記述 に対し、日医は、小泉政権下から今日までの、厳しい医療費抑制による診療報 酬の伸びについて触れ、『経済財政改革の基本方針2007』(6月19日に閣議決 定)の記述「平成23年度までの5年間に実施すべき歳出改革の内容は、機械的 に5年間均等に歳出削減を行うことを想定したものではない。それぞれの分野 が抱える特殊事情や既に決まっている制度改革時期とも連動させ(以下略)」 を尊重すべきとし、診療報酬引き上げの必要性を強調した。

 (2)社会保障給付費の予測について、日医が、厚生労働省の経済前提を踏ま えて計算した診療報酬改定要望率に対して、財政審が「高すぎる」と指摘した 件を取り上げ、厚労省の経済前提に問題があるならば、財務省がその点を是正 すべきとした。

 (3)医療費予測について、建議では、一人当たりの医療費伸び率を、一般医 療費:2.1%、高齢者医療費:3.2%として、計算している。しかし、この伸 び率は、1995〜1999年度の実績平均を用いたもので、推計は過大であるとした。

 「国際比較」について、建議では、「医療費の国際比較については、国ごと に制度が異なることを留意する必要あり」と記述しているにもかかわらず、直 後の頁に、病床数、入院日数、外来受診回数について、諸外国との比較が記述 されていることを指摘。記述内容の基本的考えを統一すべきであると述べた。

 「医師不足の認識」について、建議では、医師数が毎年3,500〜4,000人程 度増加していることを示し、医療費抑制は医師数に影響を与えていないとして いる。しかし、ここでの医師数の増減は、医学部入学以前となる6年以上前の 数字であり、最近取り上げられている、医師不足による勤務医の厳しい勤務環 境は、医療費抑制の結果であると述べた。

 「保険者間の財政調整」については、保険料により調整を行うことが適切と の建議の記述に対して、日医でも、兼ねてより公平化を主張しており、社会保 障という観点から、財政調整に関しては、同意を示した。  

 同常任理事は、11月7日の定例記者会見でも、財政審に対する見解を示して おり、今回の建議を受けても揺らぐものではないと強く主張した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

◇定例記者会見資料はこちらから
 ⇒ http://www.med.or.jp/teireikaiken/


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.