白クマ
日医白クマ通信 No.807
2007年11月30日(金)


定例記者会見
諮問会議の「予算編成の基本方針(案)」に対する日医の見解を公表

 経済財政諮問会議が、11月26日に「平成20年度予算編成の基本方針(案)」を了承したことを受けて、中川俊男常任理事は、11月28日に記者会見を行い、基本方針(案)に対する日医の見解を明らかにした。

 基本方針のなかに、「景気はこのところ一部に弱さがみられるものの、回復している」「企業部門の好調さが持続し」との記述があることに関して、同常任理事は、経済財政諮問会議も景気の回復を認識していることがこのことからも分かると指摘。日医が賃金上昇率および物価上昇率を年0.5%として、診療報酬の改定要望を行ったことを高すぎるとして批判した財政制度等審議会の考えを改めて批判した。

 また、「原油価格の動向等が我が国経済に与える影響には留意する必要がある」との記述に関しても、ライフライン産業である電気料金、ガス料金は燃料費の占める割合が高く、燃料価格の変動を料金に反映させることができるが、診療報酬にはそのような仕組みがないため、今後は原油価格の上昇が医療機関に与える影響も考慮する必要があるとの考えを示した。

 平成20年度予算の基本的な考え方(各分野における歳出改革)で社会保障に関して、「効率化によるトータルコストの削減努力を最大限行う観点から、診療報酬・薬価等の見直し・・・」との記載がある。この件について、同常任理事は、国民の生命と安全を守るため、平成20年度診療報酬改定においては大幅な引き上げが必要なことを改めて強調。経済財政諮問会議の委員に対しては、「財政再建のことばかりを考えるのではなく、地域の医療現場の疲弊した状態に目を向けて欲しい」と述べた。

 また、「希望と安心」の国に向けた予算の重点化・効率化の(信頼でき持続する社会保障制度の整備)で「医療については、小児科や産婦人科などの医師不足の解消策や、救急患者の受入れを確実に行うためのシステム作りなど救急医療の充実を図る。」としていることについては、本分野の建て直しは喫緊の課題であり、これらの指摘は言うまでもなく、日医の主張とも合致しているが、それを実現するためには地域医療全体の下支えが不可欠と指摘。しかし、現実には、地域医療の現場では「分娩実施施設が約10年間で27%減少」「小児科標榜施設は約10年間で6%減少」「半分近くの県で、患者を医療機関に届けるまでに30分以上かかっていること」などが起きているとし、地域医療の崩壊を食い止め、産科、小児科、救急医療の建て直しを目指すためにも診療報酬の引き上げが必要になると改めて強調した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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