白クマ
日医白クマ通信 No.811
2007年12月5日(水)


社会保障審議会医療保険部会(11月26日)

 社会保障審議会医療保険部会が、11月26日、都内で開催され、(1)被用者保険における格差の解消、(2)平成20年度診療報酬改定の基本方針(案)―について議論が行われた。

 (1)については、健保連や連合等の委員から、「提出のプロセスがあまりに唐突。自主・自立で切磋琢磨してやっていくのが基本」など、これまで同様の反対意見が出された。それに対して、事務局は、「今回の提案は、保険者努力の及ばない所得格差や年齢格差を解消するものである。また、国の財政が厳しいなか、制度改正により医療費の増大を抑えるための提案であるが、一元化の議論は昔からあった」として理解を求めた。

 鈴木満常任理事は、「中医協医療経済実態調査の保険者調査の結果等を見ると、健康保険組合の収支状況は大幅なプラスであり、今までの累積の余剰金は4兆円超となっている。財政調整に代わる対案がないのであれば、是非とも協力を検討いただきたい」と発言した。

 結局、議論は平行線のまま医療保険部会としての取りまとめには至らず、今後は年末の予算編成に向け厚生労働省と関係団体との間で個別に調整し、医療保険部会としての結論は部会長一任とすることで了承された。

 (2)では基本方針(案)が示され、基本的には前回改定に際して医療保険部会が策定した基本方針を継承し、さらに「産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担軽減」が緊急課題として位置づけられた。

 審議のなかでは、都道府県や市町村を代表する委員が、「地方では、もはや産科・小児科だけの問題ではなく、病院の存続どころか、地域医療そのものが崩壊寸前の状況である」など、地域医療を取り巻く環境の厳しさや、医師不足の深刻さを切実に訴えた。

 鈴木常任理事は、「大病院に対して、医療費明細書の発行を義務化する議論があるが、診療所は義務化ではない。体制の違いにより対応も違うということになると、患者の不信を招きかねない。DPCについても、まずはひずみが生じている現状を正してから、今後の展開を考えるべき。また、後発医薬品の普及についても、これから解決しなくてはならない問題がある状況で、安易な普及は控えるべきである」と性急な変化に注意を促した。さらに、「勤務医の過重労働解消のために、診療所の夜間への診療時間の延長を進めることと、初・再診料の引き下げは全く別の検討課題である」と述べるとともに、勤務医に比べ開業医の就業時間が短いとの報道等に対し、実態はそうではないという日本医師会の調査結果を報告した。

 部会としての最終方針案は、さまざまな指摘を踏まえたうえで、医療部会での議論との調整を含め、部会長に一任することで了承された。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)


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