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いわゆる「コンタクトレンズ診療所」問題 |
不適正な診療報酬の請求を繰り返す、いわゆる「コンタクトレンズ診療所」問題が世間を騒がせている。「コンタクトレンズ診療所」とは、コンタクトレンズ量販店に隣接し、その多くは眼科医以外の医師の名義で開設、あるいは医師が常勤していないなど倫理的・法的に問題の多い診療所のことである。
この問題はNHK「ニュース7」を皮切りに、フジテレビ、日本テレビなどのテレビ報道、および読売、朝日、日経などの全国紙に大きく取り上げられ報道された。これらの報道の主旨は、「コンタクトレンズ診療所」で行われている診療報酬の不正請求の問題で、その内容は虚偽の病名による診療報酬の水増し請求、再診を初診とする不正請求、無資格診療など、18年4月改定で設定されたコンタクトレンズ検査料のルールが守られていないというものである。これに対し厚生労働省が、全国約110カ所の「コンタクトレンズ診療所」を対象に刑事告発を含む一斉指導監査に入るという報道がなされた。
問題はその内容がセンセーショナルであり、あたかも通常の眼科診療所がこのような不正を行っているような誤解を与えている点である。
日本眼科医会(三宅謙作会長)に所属する6,000余の眼科医の診療所では、18年診療報酬改定におけるコンタクトレンズ検査料の大幅な削減・包括という厳しい条件下で、国民の目の健康を守るべく必死にコンタクトレンズ診療を継続している。コンタクトレンズ診療は、眼科診療の基本である屈折矯正(視力矯正)であり、この診療を通じて、無症状で隠れた多くの眼疾患が発見されている。また角膜の病態生理を熟知した眼科の専門医によって、量販店などで売られている不適切なコンタクトレンズによる眼障害が早期に発見・治療されている。
日本眼科医会が行っている国民の目線に立ったコンタクトレンズ診療に関する啓発活動を通じ、「コンタクトレンズ診療所」問題の実態を理解していただきたい。
(日本医師会常任理事・羽生田 俊)
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