白クマ
日医白クマ通信 No.822
2007年12月14日(金)


第45回社会保障審議会介護給付費分科会(12月10日)
「介護サービス事業の実態を検討」

社会保障審議会介護給付費分科会


 第45回社会保障審議会介護給付費分科会が、12月10日、都内で開催された。

 当日は、10月12日に分科会のなかで設置が了承された「介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム」から、各団体にヒアリングを行った結果が報告された。

 報告の内容は、「介護労働者や介護事業者を取り巻く状況」「基本的な考え方」「今後の検討課題」の3点で構成され、それぞれ議論を行った。

 「介護労働者や介護事業者を取り巻く状況」として、(1)介護労働者の賃金水準の低さや、人材の確保・育成が困難である、(2)介護職員とホームヘルパーの離職率が高い、(3)介護サービス事業の経営は、訪問介護や通所介護の事業所数の増加に伴い競争が激化している―ことが示された。また、労働条件の改善や事務手続きの煩雑さなどの問題点も示された。

 「基本的な考え方」では、介護サービスの安定化を図るためには、労働力の確保が必要であるとされ、「今後の検討課題」のなかで、(1)各事業に共通事項として、a.労働者の属性に応じた対策 b.介護労働者のキャリアアップ c.書類作成や事務に係る負担軽減 d.介護報酬の水準 e.介護労働者の人件費配分 f.給与水準の地域差反映 g.事業所での労働環境事項の情報開示、(2)訪問・通所系の事業として、a.サービス提供責任者等の人員配置基準のあり方 b.訪問介護における生活援助や相対契約による付加的なサービスの組み合わせのあり方、(3)施設系の事業として、a.入所者の重度化を踏まえた人員配置基準の在り方、b.介護施設の建替え時の資金繰り、(4)その他として、介護事業者の事務負担増にならない実地指導・監査や制度運用―について検討が必要ではないかと示された。

 議論のなかでは、「介護人材の確保について、離職率の低い施設の経営モデルを例示するべき」「介護事業者の増加に伴う競争の激化について、介護市場の総量抑制や参入規制を行ってはどうか」「単純に介護報酬を上げるだけでは、利用者の負担が増えるだけで、労働環境の改善にはならないのではないか」等のさまざまな意見が挙がった。このほか、訪問看護に関しては、別途、機会を設けて検討したいとの要望があった。

 天本宏常任理事は、「議論は慎重に行わなければならないが、来年4月の新人採用が喫緊の課題である。介護の需要は増えているが、介護養成者学校では、入学者が減り、介護労働者も減ってきている。労働環境の整備に向け、早急に短・中・長期的に具体的な対策を検討することが必要だ」と述べ、他の委員からも具体的な議論が必要との意見が出された。

 分科会では、引き続き分析が必要であるとされ、今後の改定に向けて細かく検討される。

◆問い合わせ先:日本医師会介護保険課 TEL:03-3946-2121(代)


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