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中央社会保険医療協議会(12月12日) 「コンタクトレンズ検査料の見直し」等について議論 |
中医協診療報酬基本問題小委員会および総会が、12月12日、厚生労働省で開催された。
<基本小委> 「DPC」「コンタクトレンズ検査料の見直し」等について議論
基本小委では、1.DPC、2.コンタクトレンズ検査料の見直し、3.肝炎対策、4.これまでの宿題事項(歯科診療報酬・薬局における服薬支援等)―について、議論が行われた。
1.では、DPC評価分科会から、「平成19年度MDC毎作業班 診断群分類の見直し(案)について」が提示され、西岡清同分科会長より説明があった。それによると、平成19年度の主な見直し点は、(1)主要診断群(MDC)の精緻化、(2)化学療法による分岐の見直し、(3)部位等の違いによる診断群分類の整理、(4)副傷病の見直し―である。検討の結果、分類数の状況は、平成18年分類と暫定案による改定後を比較すると、疾患数は516から501に減り、診断群分類数は2,347から2,496に増え、包括対象率が増えている。見直し(案)については、了承された。
関連して診療側委員より、12月7日に議論されたDPC対象病院の拡大等について確認を求め、「2年間のデータ提出後、平成21年度は軽症を認める<基準案1>で合意したもので、平成19年度準備病院のみの議論ではなく、DPC制度全体を考える」との確認が行われた。
竹嶋康弘委員(日医副会長)は、総括的な確認として、(1)DPCは、あくまでも支払方式の選択肢の一つであり、急性期病院の要件ではないこと、(2)今後も出来高払いを採用する急性期病院の診療報酬を適切に評価する、(3)調整係数見直しの2年後に向け、急性期病院の診療報酬のあり方について、DPCだけでなく、新たな議論を開始する、(4)具体的なルールが決まるまでの間、自主的にDPCを辞退できることを可能にする、(5)12月7日の基本小委で合意された軽症の急性期入院医療も含めることについては、見直しが行われるまでの「暫定措置」である―の5点を改めて挙げた。これに対して、土田武史委員長(早大商学部教授)が、問題提起として改めて議論するとした。
2.では、平成18年改定において新設され、検査点数を包括化した「コンタクトレンズ検査料の見直し」について議論された。コンタクトレンズに係る保険診療の不適切な診療報酬請求について、全国で個別指導を実施したところ、さまざまな不適切事例が判明。これを踏まえて、「初回装用と既装用の違いをなくすこと」と「施設基準を見直すこと」が論点として挙げられた。中医協事務局からは、「コンタクトレンズ販売店に併設されたクリニック等が問題であって、眼科専門医の医院ではないことを明確にしておきたい」との発言があった。
議論のなかでは、一部の不適切な医師や開設者は、厳しく処分すべきとの意見が相次いで出された。鈴木満委員(日医常任理事)は、この問題は、眼科医会等からも看過できないとして、10年以上前から指摘されていたが、平成18年度改定でやっと取り上げられたとの経緯を説明。そのうえで、「きちんとやっている眼科医が今回見合わない扱いをされるが、不適切な請求が一掃された後には再評価すべき」と述べた。
3.では、インターフェロン治療を必要とする肝炎患者は長期の入院治療が必要になることが考えられるため、薬剤費が入院料に包括される療養病棟等の場合、医療機関等の負担が重いため、インターフェロン等に係る薬剤費を、包括から除外して出来高払いで算定することが了承された。竹嶋委員は、その他の薬剤でも高価なものは包括点数から除外していくべきと指摘した。
4.の「薬局における服薬支援等」では、(1)服薬の自己管理が困難な外来患者(後期高齢者)に対する服薬支援、(2)後期高齢者における服薬状況、薬剤服用歴等の確認―について、前回の議論を踏まえた論点が示された。鈴木委員が、「義務化は混乱を招く」として使用に反対していた「お薬手帳」については、“これによる服薬状況の確認が義務付けられるわけではない”ことが明確にされ、鈴木委員も、「義務化でなく確認なら間違いなくやれると思う」として了承した。
<総会> 社会保障審議会から平成20年度診療報酬改定の基本方針が示される
総会では、社会保障審議会の医療保険部会と医療部会により、12月3日に取りまとめられた「平成20年度診療報酬改定の基本方針」が示された。今回改定の基本方針は、「緊急課題(産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減)」と、前回改定時に示された「4つの視点」からなっている。
議論のなかで、診療側委員からは、勤務医の負担軽減策が不足していることが指摘され、地方都市で夜間救急の逆転現象などが起きている現状が紹介され、病院がしっかり入院医療を担当するように高く評価する必要があるとの意見が、また、支払側委員からも、「救急医療を不採算部門にしてはならない。開業医が勤務医になる流れができるくらいの診療報酬体系を作っていくことを考えるべき」などの意見が出された。これに対しては、診療報酬での誘導には限界があるなどの意見があった。
竹嶋委員は、地域間格差、有床診療所問題、医師・看護師不足など、政策的な課題として取り上げるべきであるとし、「社会保障審議会でもしっかり発言していく」と述べた。
当日は、ほかに、9成分16品目の新医薬品の薬価収載、保険医が投与できる注射薬及び在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加(1件)、医療機器の新たな保険適用67件(医科57件、歯科10件)、臨床検査の保険適用(2件)が、それぞれ承認された。さらに、先進医療専門家会議における科学的評価結果1件(肝切除手術における画像支援ナビゲーション)が、先進医療として保険給付の併用を認められた。
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