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中央社会保険医療協議会(12月14日) 「平成20年度薬価制度改革の骨子」等を了解 |
中医協は、12月14日に、薬価専門部会、保険医療材料専門部会、診療報酬基本問題小委員会および総会が、厚生労働省で開催された。
当日は、薬価専門部会および保険医療材料専門部会により、5月以降検討を続けてきた「平成20年度薬価制度改革の骨子(案)」と「平成20年度保険医療材料制度改革の骨子(案)」が、それぞれ提示、了承された。
<基本小委> 「入院医療の評価のあり方」と「在宅医療を支援する病院の評価」について再度議論
基本小委では、「これまでの宿題事項」として、1.入院医療の評価のあり方、2.在宅医療を支援する病院の評価―について、議論が行われた。
1.では、(1)特殊疾患療養病棟入院料、(2)障害者施設等入院基本料―の2つについて議論された。論点としては、特殊疾患療養病棟では、「医療ニーズが高くない脳梗塞・脳出血後遺症等または認知症の患者が中心の病棟は、経過措置を設けつつ、それぞれふさわしい病棟への転換を進めること」、「平成18年度改定での経過措置の対象患者のうち、手厚い看護配置の病棟に入院している患者は、同措置を延長すること」、「現在の名称を変更すること」の3点が、障害者施設等一般病棟では、「医療ニーズが高くない脳梗塞・脳出血後遺症の患者が中心の病棟は、経過措置を設けつつ、ふさわしい病棟への転換を進めること」が挙げられた。
議論のなかでは、支払い側委員から、「前回改定で医療区分1の点数を低くしたことでこの病棟に患者が移動した。今回の措置によりイタチごっこにならないか」との意見が出され、竹嶋康弘委員(日医副会長)は、「最初の区分の仕方や評価に問題があったわけで、根本から議論していく必要がある」と指摘した。また、診療側委員から、「ある時期に入院していた人のみが医療区分2、3とされる経過措置について、同じ状態の人は、同じサービスを受けて、同じ報酬を受けるべきだ」との意見もあった。
2.では、病院と診療所の機能分化を進める観点から、病院には在宅療養支援診療所を支援する役割を求め、「半径4キロ内に診療所がない場合のみ、“在宅療養支援病院”として高く評価すること」が論点とされた。中医協事務局より、在宅療養支援診療所が普及しつつあるとの説明があり、平成19年7月現在、全国で1万33ヵ所であるとの説明がなされたが、診療側委員や公益委員からは、在宅医療推進のためには、数が少なく、必要なサービスが受けられない地域が多いので、さらに推し進める方向での検討を要望する意見が出された。
<総会> 平成20年度診療報酬改定に向け、診療側・支払側双方が意見書を提出
総会では、平成20年度診療報酬改定に向けて、診療側・支払側双方から、具体的検討事項に関する意見書が提出された。
診療側の意見は、「医科」「歯科」「調剤(保険薬局における調剤報酬関係/病院・診療所における薬剤師業務関係)」に分け、1.基本的考え方、2.具体的検討事項について述べられており、竹嶋委員が代表して説明した。
それによると、産科・小児科・救急医療をはじめとする地域医療崩壊を食い止め、安定的な医療提供を可能とする体系の再構築が必要で、財政中立による、政策誘導的な診療報酬改定は認められないとした。そのうえで、具体的検討事項としては、「平成18年度改定で大きな問題を惹起し医療を混乱に陥れた不合理の是正」「医療の安全確保」「適切な技術料評価の診療報酬体系の確立」などを求めている。
議論では、支払い側委員からは、メリハリをつけた評価と在宅における受け皿の整備(特に訪問看護)を求める意見などが出された。診療側委員からは、今回思い切ったことをやると急性期病院はもう持たないとの意見が出された。
竹嶋委員は、「中医協は労使交渉ではなく、国民医療のためにという視点で協議していくべき」との考えを示した。
なお、当日は、薬価専門部会で了承された「平成20年度薬価制度改革の骨子」および保険医療材料専門部会で了承された「平成20年度保険医療材料制度改革の骨子」(一部文言修正の後)が、それぞれ報告され、了解された。議論では、保険医療材料に関し、不合理な内外価格差の是正のため、今後も、さらなる適正化を求める声が続出した。
また、12月5日の基本小委で了承された「後発医薬品の使用促進のための環境整備の骨子(案)」も、中医協として了承することになった。
今後は、明年1月16日に、厚労大臣より診療報酬点数の改定案作成の諮問を受け、中旬を目途に議論の成果を取りまとめ、国民からの意見募集を経て、2月中〜下旬に答申の予定。
◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)
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