白クマ
日医白クマ通信 No.914
2008年5月22日(木)


財政審の議論に対する日医の見解示す
―中川常任理事

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、5月21日の定例記者会見で、5月13日に開催された財政制度等審議会・財政構造改革部会に示された「医療制度の現状と課題」等の資料に対する日医の見解を明らかにした。

 病院と診療所の格差是正の問題については、5月8日の定例記者会見に引き続き、病院は入院、診療所は外来という機能分担の下で、診療所の再診料を高く評価してきた経緯があることを説明した上で、同じ入院でも、有床診療所は入院時医学管理加算等を算定できない、200床以上の病院は、紹介状なしの初診の場合に特別の料金を徴収できる(選定療養)など、求められる機能により差があることを改めて説明した。また、外来1日当たり費用を見た場合、病院に比べて、診療所の初・再診および医学管理等の費用が高いものの、病院では検査、投薬などの費用が高く、外来1日当たり費用全体で見ると、病院の方が高いことを説明。これも、病院と診療所の機能分化の結果であるとし、再診料等の違いのみを取り上げて、病院と診療所の格差是正を主張することは適切でないと改めて批判した。

 また、開業医の年収が勤務医よりも高いとされている点についても、(1)開業医(個人)の収支差額は、設備投資等を行う以前のものであること、(2)開業医(法人、個人とも)は、地域医療の維持、そしてそのための経営責任を負っていること、(3)開業医(個人)は自ら借り入れをし、設備投資を行っているが、法人化し、給与を受け取っている開業医も、債務保証をしており、そのリスクは同じであること―等を示して、開業医と勤務医の年収を単純に比較することはできないと反論。むしろ、勤務医の給与が低すぎることを十分に検討すべきと主張した。

 保険免責制の導入が検討されていることについては、かかった医療費が少ないほど、むしろ患者負担割合は高くなることを具体的な数値を示して説明。受診抑制や、保険料支払いの低下につながる可能性があるばかりか、限度額の引き上げによって保険給付範囲を狭め、医療における格差を助長するおそれも大きいとし、改めて反対していく意向を示した。

 また、財政審が引き続き医療費を抑制する方針であることに関しては、社会保障費の自然増に対する年2,200億円の抑制を止めない限り、医療現場の荒廃は改善しないとし、日医として、この撤廃を強く求めていくと述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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