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定例記者会見 「骨太の方針2008」に向けて日医の見解を表明 ―中川常任理事 |
同常任理事は、資料「『基本方針2008』に向けて―社会保障費の財源確保のために―」を示しながら、これまでの主張を交えつつ説明。 それによると、厚生労働省の過大な医療費推計の下、2007〜2008年度も、2002〜2006年度と同様の国庫負担の削減を求められ、その痛みは年々厳しくなっている。昨年6月19日の“機械的な削減ではない”とする閣議決定が、8月10日の閣議了解時には覆され、予算では機械的な削減が強いられたと指摘。このまま社会保障費の国庫負担年2,200億円の削減が続けば、小泉政権発足の2001年度を起点とすると、あるべき自然増に対して10年間で12.1兆円の国庫負担抑制があったことになり、国民医療費30兆円(約1年分)が失われたに等しいとして、行き過ぎた医療費抑制策を批判した。 また、119番通報から医療機関への収容までの時間が延びている「救急」や、医療機関等の閉鎖・廃止の報道事例などを挙げ、地域医療が崩壊しつつある医療現場の実態を紹介。さらに、経済大国を自認する日本だが、対GDP比総医療費8.0%で、OECD加盟30カ国(平均8.9%)中21位、G7中では最下位(平均10.2%)で、財務省など財政当局が「それほど低くない」と胸を張る対GDP比公的医療費も6.6%と、G7中最下位(平均7.2%)であると指摘。国民には、経済力に見合った医療を受ける権利があると主張した。 そのうえで、財源確保に向けて、(1)現状の保険財政の再構築、(2)国の全体的な歳出改革、(3)新たな財源についての検討―を同時並行で行うとの日本医師会の基本的スタンスを示した。 (1)では、「公的医療保険の再構築」として、a.事業主負担の見直し b.保険料上限の見直し c.保険料率の公平化―を、(2)では、「国の歳出改革」として、a.特別会計の見直し b.独立行政法人等の見直し―を挙げた。 特に、(2)では、特別会計の2006年度決算剰余金は51.0兆円、うち41.5兆円が緊急の使途を持たない財源として翌年度に繰り越されているとして、決算分析を重視し、剰余金が発生しづらい仕組みを作り、発生した場合には一般会計に繰り入れて透明性を高めるべきだとした。また、独立行政法人には、2006年度決算で一般歳出48.0兆円の7%に当たる3.4兆円の運営費交付金が支出され、半分以上の法人で政府出資金が目減り(1.6兆円)していること等を指摘。廃止・民営化等、さらなる改革の徹底とスピードアップを求めた。 また、(3)では、“消費税”について、年金優先での議論となっているため、新たな財源を基礎年金給付のためだけに充当するのではなく、年金・医療・介護を同じ土俵に上げて議論すべきとし、日医が提案する高齢者医療の公費9割も、受け皿として検討することを求めるとした。 さらに、同常任理事は、この10年で世帯における所得や貯蓄に格差が増大したことにも触れ、脱「格差社会」に向けた負担の見直しは、「国民の目に見える形で明確にし、納得を得なければ、国民の不安は払拭されない」と述べ、取り組みの重要性を重ねて強調した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代) ◇定例記者会見資料はこちらから
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