白クマ
日医白クマ通信 No.929
2008年6月13日(金)


定例記者会見
「財政審建議に対する日医の見解を説明」
―中川常任理事

 中川俊男常任理事は、6月11日に開催された定例記者会見で、財務省財政制度等審議会が6月3日に取りまとめた「平成21年度予算編成の基本的考え方」(建議)に対する日医の見解を、建議の記述のさまざまな問題点を指摘しながら、説明した。

 建議のなかで、「現在の社会保障給付に係る公費負担のために必要な財源を現世代が負担する税財源で賄い切れておらず、財政赤字が多額に上っている。」とされていることについては、社会保障費だけのために財政赤字が発生し、債務残高が増加しているわけではないと反論。社会保障費だけをターゲットにするのは筋違いであり、まずは、公務員の人件費、経費の削減、独立行政法人改革などを進めることが先決だと主張した。

 また、「わが国の医療の実態を見ると、諸外国と比較して、病床数が多く、入院日数が長い、外来患者の受診回数が多いなど様々な課題がなお山積している状況」とされていることに関しては、日本は限られた資源のもとで、世界一の健康を得てきた。これは、十分な病床数、入院期間に支えられてきたからであるととらえるべきで、病床数の多さや、在院日数の長さが悪いと決めつけるべきでなく、健康達成度が日本より低い諸外国のシステムを志向すべきでもないと反論した。

 さらに、「『基本方針2006』等で示された歳出改革の方針を堅持すべき」「国民負担の軽減の観点から、医療サービス提供コストの縮減・合理化を進めること」とされたことに関しては、現在、救急、産科医療等、全国各地で医療崩壊が現実化していることを説明。合理化が、節約や無駄の排除を意味しているのであれば、医療現場はすでに必死に行ってきており、国民の我慢、現場の努力も限界に来ているとし、来年度からの予算編成においては、毎年2,200億円の社会保障費を削減することの撤廃を強く求めていく考えを改めて示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代)  

◇定例記者会見資料はこちらから
 ⇒ http://www.med.or.jp/teireikaiken/


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.