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定例記者会見 基本方針2008(素案)に対する日医の見解を示す―中川常任理事 |
「基本方針2008(素案)」には、「引き続き『基本方針2006』、『基本方針2007』に則り、最大限の削減を行う」と記載され、福田康夫首相も会議のなかで、「『基本方針2006』に則った削減を継続する」と発言したとされる。これに対して、同常任理事は、社会保障費の伸びの抑制が医療崩壊を現実化させたことは明らかであり、この機械的抑制が続く限り、小児科、産科、救急医療の危機的状況はまったく改善されないと指摘。そのうえで、「国民が社会保障に対して不安を持っている今こそ、間違った方針を反省し、社会保障費の機械的抑制の撤回という明確な方針転換を図ることを強く要求したい」と述べた。 さらに、同常任理事は素案の「第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築」に示された(1)社会保障カード(仮称)の導入、(2)医師不足を解消するため、女性医師の就労を支援、(3)関係職種間の役割を見直す―などの考えに対する日医の見解を説明。(1)については、社会保障番号につながりかねず、利便性についても十分な検証を行うべきとしたほか、(2)に関しては、新医師臨床研修制度により、医師不足が顕在化したことは明らかであり、新制度の見直しも行うべきと指摘。また、(3)についても、医師の養成数および新医師臨床研修制度の見直しが先決だとし、単なる役割分担の推進は患者を危険な状態にさらすことにもなり、責任の所在を十分に検討すべきと主張した。 一方、「一般会計や特別会計を通じたムダ・ゼロと政策の棚卸しによって財源を捻出」との記述に関しては、「日医は、かねてより特別会計、独立行政法人等の見直しを主張してきたことから、一定の評価ができるとの考えを明示。今後も、社会保障費抑制により弱者である国民にしわ寄せをするのではなく、特別会計、独立行政法人等の見直し、さらには公務員人件費等の見直しを徹底して行うことを求めた。 その他、当日の会見では、6月10日の経済財政諮問会議で、有識者議員から麻酔専門看護師の導入、歯科医による医科麻酔の実施に関する提案があったことにも言及した。同常任理事は、専門性の観点からも、医師以外の者による医科麻酔の実施は、国民を危険にさらすおそれが非常に大きく、断固反対であると述べるとともに、医師不足に名を借りて、医療の安全や質向上に逆行するような施策は容認できないとして、まずは根本的な医師不足対策を推進していくことを国に求めていく考えを示した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) ◇定例記者会見資料はこちらから
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