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定例記者会見 「医療経済実態調査(保険者調査)に対する日医の考え示す」 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、7月9日の定例会見で、当日開催された中医協総会で公表された「医療経済実態調査(保険者調査)―平成19年6月実施―」の結果に対する日医の見解を明らかにした。
調査結果によると、平成18年度の保険者全体の経常収支差は4,192億円の黒字で、政管健保を除いても、3,075億円の黒字となっていた。また、利益のほとんどを積み立てているため、積立金は前年度より4,520億円増加し、7.1兆円となった。
保険者別に見ると、組合健保では、経常収支差が2,372億円の黒字、積立金も年々増加して、平成18年度末には5兆円近くに達している。これについて、同常任理事は、「財政難の組合が政管健保に離脱し、結果として存続した組合の平均値が向上している可能性もあるが、いずれにしても組合健保全体でみれば、黒字かつ5兆円規模の積立金があることは事実だ」と強調した。
政管健保については、経常収支差が1,117億円の黒字で、積立金も4,983億円となっている。これに対して、同常任理事は、「平成20年度には、組合健保、共済組合から1,000億円の財政支援を受けることになっていたが、本当に『肩代わり』をしてもらう必要があったのだろうか」と指摘。加えて、社会保険庁の人件費、経費等である経常支出の「その他」の部分が、平成17年度から18年度にかけて増加していることに着目し、まずは政管健保(社会保険庁)自体の歳出削減を徹底すべきと主張した。
経常収支差が平成18年度で323億円の赤字となっている国民健康保険に関しては、収納率を高めれば、改善できる可能性があるとし、総務費がほぼ横ばいに推移していることについても、「保険者によっては、十分な歳出改革が行われていないのではないか」との見解を述べた。
同常任理事は、最後に、「保険者全体では経常収支差が黒字で、積立金も増加しているのは、保険料(収入)のわりに給付費(支出)が少なかったことによるものである。給付費は医療費に比例するので、医療費抑制、つまり国民と医療現場の締め付けの結果である」と指摘。今度は、「保険者が国民と医療現場を救っても良いのではないか」と述べるとともに、平成20年度当初予算における政管健保の国庫負担「肩代わり」案のようなことは、今後も前向きに検討されるべきとの考えを示した。
そのうえで、さらに詳細な分析は必要としながらも、組合健保と政管健保、さらには国保との財政および保険料の格差が拡大しつつあり、不公平感が高まっているとの認識を示し、日医がかねてから主張している保険料率の公平化、財政調整の必要性を改めて指摘した。
◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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