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定例記者会見 「DPC病院を対象として行った経営分析結果を公表」 ―中川常任理事 |
中川俊男常任理事は、7月23日の定例記者会見で、日医がDPC対象病院および準備病院(以下、「DPC病院」という)を対象として行った経営分析結果を公表した。
今回の分析は、DPC病院(公立病院285、国立病院42、国立大学附属病院42)と一般病床が60%以上の病院(公立病院・国立病院)の経営状況を比較する形で行ったもので、DPC病院の経営状態に関しては、都道府県・市町村立病院は総務省「地方公営企業年鑑」を、独立行政法人国立病院機構の病院は、情報公開法で開示が義務付けられている財務諸表を、それぞれ用いて分析を行っている。
同常任理事は、限られたデータからの分析であったとしながらも、今回の分析によって、(1)当初DPCに手を挙げた病院は、もともと在院日数が短く、収入が多く、患者単価も高く、優位な位置にあり、さらに、調整係数による安定的な収入を財源に、医師、看護師を増加させていること、(2)最近では、在院日数の比較的長い病院も手を挙げているが、先行DPC病院並みの在院日数に到達するのは困難であると思われ、調整係数もなくなるため、必ずしも先行DPC病院のようなメリットを享受できるわけではないこと、(3)DPC対象病院には財源、医師、看護師が集中しているため、そのほかの病院との格差が開いている。DPCが拡大し、早期に退院する患者が増加すると、その受け皿となる医療機関が重要な役割を果たすことになるが、格差が拡大しつつある現状では、それらの医療機関の維持は困難であり、患者が切れ目のない医療を受けることが出来なくなる可能性があること―などがいえると説明。
また、同常任理事は、DPC評価分科会からの資料「平成19年度『DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価』最終報告概要」(5月21日 中医協基本小委資料)において、DPC対象病院で治癒率が低下し、再入院率が上昇していること、さらに、DPCにおける医療経営上のモラルハザードについて、改めて触れた。そのうえで、治癒率の低下について、7月16日の中医協基本小委において、DPC導入前後で医療の「質」の定義が変化したのか確認したところ、DPC評価分科会長から「DPCによって入院医療の中身が変化した結果である」との説明があったことに対し、「DPCについては、光と影の「光」の部分を強調し過ぎるきらいがある」との考えを示した。
以上を踏まえたうえで、今後、急性期病院の診療報酬の在り方全般について新たな議論をはじめる必要があるとの考えを示し、厚生労働省に対しては、引き続き、患者実態調査(特に退院後の調査)、適切でない請求についての個別事例の資料、DPC病院の経営に関する資料(財務諸表や患者数等の情報)の提供を求めていくとした。
なお、今回の分析に関する資料は日医のホームページに掲載されているので参照されたい。
◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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