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定例記者会見 厚生労働省「平成18年度 国民医療費の概況」に対する日医の見解 |
同常任理事は、「国民医療費は、これまで年1兆円伸びると言われてきた。しかし、2006年度の国民医療費は診療報酬改定▲3.16%の影響もあり、33.1兆円と前年度比横ばいであった。一方で国民所得は前年度比+1.8%であったので、国民医療費の国民所得に対する比率は前年度(9.0%)を下回って8.9%になった。国民医療費の対国民所得比が低下するのは、介護保険施行年(2000年度)を除くと、バブル期以来のことである」と指摘した。 75歳以上の1人当たり国民医療費の伸びについては、80歳代、90歳代の占める割合が増加しているにもかかわらず、79万5100円となり、前年度比▲2.9%になっている。「入院外医療費の長期的な低下傾向などをみても、高齢者の受診抑制が現実化しているのではないか」と懸念を示した。 さらに「長年にわたる医療費抑制の結果、高齢者の1人当たり医療費が伸びつづけるという実態はなくなっている」と指摘した。 生活習慣病医療費について、「国は医療費に占める生活習慣病の割合が国民医療費の約3分の1となっていることを問題視し、メタボリックシンドローム対策を進めているが、生活習慣病医療費の割合は長期的にはほとんど変化していない。医療費の7割に当たる他の傷病対策が後手に回らないように注視したい」と述べた。 75歳以上の1人当たり生活習慣病医療費については減少傾向にある。これを傷病別に見ると、悪性新生物を除き減少傾向にあるが、特に脳血管疾患は介護保険導入を機に大幅に低下している。「介護施設への移行の影響もあろうが、長年の医療費抑制によって、特に高齢者が必要な医療を受けられなくなっているのではないか」と懸念を表明した。 最後に、「0〜74歳の1人当たり生活習慣病医療費については、2008年度には特定健診が始まったが、早期発見、早期治療により国民の健康が向上し、その結果として適切な医療費が保たれるべきである。医療費削減を目標にすべきでない」と強く主張した。 ◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代) ◇定例記者会見資料はこちらから
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