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定例記者会見 「平成21年度予算概算要求に対する日医の見解を公表」 |
中川俊男常任理事は、9月3日の記者会見で、厚生労働省の「平成21年度予算概算要求」に対する日医の見解を明らかにした。
まず、社会保障費の自然増に対する年2,200億円の国庫負担の削減が維持されていることは、「きわめて遺憾」と述べた。一方、「医師確保対策368億円、地域で支える医療の推進 597億円」の要求については、救急、小児科、産科医療および勤務医対策が重視されている点は一定の評価はできるとした。しかし、これらは本来、診療報酬の引き上げで手当てすべきと主張、概算要求に盛り込まれている救急医療を担う医師への支援などは、一部補助のような中途半端な形では、恩恵を受けることのできる医療機関は限られ、その結果、地域医療における格差がより広がるおそれがあると批判した。
また、同常任理事は、医師不足に名を借りた、関係職種間の役割分担の見直しに関する事項について、責任の所在を曖昧にしたまま、医師の業務を分担することは、患者にとって危険な状態を強いることにつながりかねない。財源論からではなく、業務のあり方そのものについて厳格な議論を求めると主張した。さらに、特定の医療機関への補助ではなく、まず、医師、看護師の不足・偏在の解消を重視すべきであると指摘した。
レセプトオンライン化の推進に関する事項については、国や保険者、審査支払機関側の体制整備の費用のみと推察され、医療現場の体制整備については全く考慮されていないと批判。最低でも、レセプト手書き医療機関への支援、代行入力支援に必要な初期費用、レセコン利用医療機関を対象としたオンライン化支援の手当が必要であるとした。
「社会保障カード(仮称)」の導入に向けた検討については、現在、年金、医療、介護の3制度を一体的に扱おうとしており問題があることや、社会保障番号の導入や住民基本台帳カードと統合する案も浮上していて、国民総背番号制につながるおそれがあることを指摘し、医療の現場や国民生活に混乱を招くことのないよう、制度設計に入る前に議論を深めるべきであると述べ、これらの動きをけん制した。
◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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