大学紹介

日本医科大学

【教育】頓に「克己殉公」へ向かう教育

日本医科大学 教務部長・小児科 教授 伊藤 保彦

先生

本学は「克己殉公」という壮絶な学是を持つ。本学の教育の特徴はこの学是をミッションとしたアウトカム基盤型医学教育である。学是に向かって8項目のコンピテンシーが設定され、すべてのカリキュラムはその実現のために体系化されている。すなわち、①克己殉公の精神を受け継ぐプロフェッショナリズム、②コミュニケーション能力、③統合された医学知識、④実践的診療能力、⑤科学的研究心と思考能力、⑥人々の健康の維持、増進を通じた社会貢献、⑦次世代の育成、教育能力、⑧豊かな人間性と国際性、である。

この「克己殉公」への頓るさについては変わることはない。しかし、方法論としては科学的教育法を積極的に取り入れ、国際標準をクリアする。その要諦は、能動的学習と臨床実習の充実化である。入学初年度からのEarly exposure、臨床医学と基礎医学を通じたPBLチュートリアルの導入、低学年における研究配属、基礎医学から臨床医学各科の協力による臓器/病態別コース講義など、多彩な方法論で学生の能動的学修を促進させる工夫をしている。その基盤となるのがICTの活用による学事/学修支援システムである。e-Learningコンテンツを充実させ、双方向授業を行い、形成評価の繰り返しが可能となる。そしてBSLは完全にクリニカル・クラークシップとして70週行う。医療環境を異にする4つの付属病院で、common diseaseから高度急性期医療まで、時間をかけて学べる。Workplace-based assessmentに基づいたBSL評価は、その後の卒後研修にシームレスにつながるものである。

本学の学生は「克己殉公」の精神をことあるごとにたたき込まれる。本学ではプロフェッショナリズム教育などの遥か昔からそうであった。

【研究】建学の精神に基づく医学研究

日本医科大学 研究部長・泌尿器科 教授 近藤 幸尋

日本医科大学は「済生救民」を建学の精神とし、学是を「克己殉公」、すなわち「我が身を捨てて、広く人々のために尽くす」ことと定め、また「愛と研究心を有する質の高い医師と医学者の育成」を教育理念として掲げて、これまでに1万人を超える臨床医・医学研究者・医政従事者を輩出してきました。古くは野口英世も本学で学んだ後に、ロックフェラー医学研究所研究員を経て黄熱病の研究で「済生救民」を果たしておられます。このように本学の研究は、研究のための研究ではなく、すぐに実地臨床に結びつく臨床研究や、基礎研究においても将来的に臨床に結びつく研究を行っています。

本学は付属病院・武蔵小杉病院・多摩永山病院・千葉北総病院と4病院が各々違った環境のなかで存在し、各々が独自の臨床研究を展開しています。基礎医学においては臨床医学と連携し、最新の研究機器を駆使して研究を展開しています。特に付属病院においては救命救急センターの症例やがん手術療法数が群を抜いているため、その分野に関連した多くの基礎的研究から臨床研究が行なわれています。加えて創傷治癒および神経精神分野においても、基礎的研究から臨床研究まで日本をリードしています。加えて武蔵小杉にある先端医学研究所では、医学の先進的治療に特化して来るべき臨床応用への研究を行っています。

本学は医科単科大学であったわけですが、近年同一法人に在る日本獣医生命科学大学と研究面でも共同研究を展開し、東京理科大学など他大学とも共通の課題に対してお互いの得意な点を生かした研究を進めております。それにより今までに無い研究のシーズをたくさん開拓することが出来るようになっています。このように単科大学の殻を破って建学の精神に則った研究を進めているのが、日本医科大学です。

【学生生活】東京の下町で仲間と切磋琢磨しながら学ぶ

日本医科大学 医学部 4年 齊藤 理帆

日本医科大の魅力は、実際にドクターヘリに乗っている先生など、最前線で働く先生方のわかりやすい講義を受講できることです。また、解剖学や薬理学などの基礎医学の授業は、講義一辺倒ではなく、実習がふんだんに盛り込まれています。座学で学んだことを実習で確認して、自分で見て学ぶことで、知識の定着を実感できます。実習はグループで行いますが、日本医科大の学生は誰とでもコミュニケーションがとれる人が多いので、学生同士わからないところを教え合い、上手く協力していこうという姿勢で臨んでいます。キャンパスがある千駄木は、小さな飲食店が多い東京の下町です。実習の日に友達とランチに行くのも楽しみの一つです。

その他の特徴として、臨床だけではなく研究もバランスよく力を入れていることが挙げられます。必修の基礎配属では、公衆衛生の研究室で特定保健用食品についての研究を行いました。特保の有無で血糖値などの数値に有意な差が表れるか否かなど、学生なりに本格的な研究の世界を垣間見れて面白かったです。今は有志が参加する臨床配属で血液内科の研究室にお世話になり、急性骨髄性白血病の遺伝子変異に関する研究に参加しています。

私が日本医科大を目指したのは、大学紹介の映像を見て、「克己殉公」という大学の学是やそこで働く先生方の背中がかっこいいと感じたからです。入学後は、実習での動物実験やご遺体の解剖、実際の患者さんの血液サンプルを用いた研究を通じて、動物やひとの命の下に、今の医学や医療があるということを身をもって学びました。私自身、それらの命に対して真摯に向き合いながら、今後の医学・医療に貢献できる人間になれるよう、初心を忘れずに精進したいと思います。

※医学生の学年は取材当時のものです。

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