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平成27年(2015年)11月20日(金) / 日医ニュース

馬鹿げた話

 某国会議員が国の予算が100兆円で医療費が40兆円かかるので大変だと言うのを聞いた。80歳以上人口が1000万人を超える世界一の超高齢国なのに、国が支出するのは医療費の4分の1だけ、40兆円の医療費も対GDPによる国際比較では多くないのが事実だ。

 知らない国民は国が40兆円も医療に使っていると思い、医療費削減が必要だと言われたら黙ってうなずくだろう。こんな馬鹿げた話がまかり通るのは正確な情報を伝えないマスコミが悪いのか、こんな議員を選んだ選挙民が悪いのか。情けないことに医療費削減はやむを得ないという医師もいる。

 国は医療費削減のため入院病床を減らして在宅医療を推進したいようだ。しかし、先進国では社会保障の柱である低所得高齢者用住宅の整備が不十分で、自立を強いる貧弱な福祉施策を医療が補わざるを得ないのも現実ではないのか。住み慣れた土地で老後を過ごすのが地域包括ケアの基本なのに、高齢者施設の少ない大都市から施設に余裕のある地方への移住を勧めるしか能がないのが、この国の有識者と言われる人達だ。

 医療の財源が無いと言われるが、保険料率で倍以上の差を放置し、明らかに逆進性となっている医療保険の応能負担はいつ実現されるのだろう。被用者年金は統合されたのだから医療保険も統合すればよいではないか。負担すべきところが負担しないまま財政主導の管理医療が進められることに医療現場はもっと怒ってもよいのでは。

(撥)

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