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平成28年(2016年)7月5日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

第Ⅷ次学術推進会議報告書 遺伝子診断・遺伝子治療の新しい展開―学術推進の立場から

日医定例記者会見 6月8日

第XIV次生命倫理懇談会答申・第VIII次学術推進会議報告書の映像となってます第XIV次生命倫理懇談会答申・第VIII次学術推進会議報告書の映像となってます

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 小森常任理事は、第Ⅷ次学術推進会議が会長諮問「遺伝子診断・遺伝子治療の新しい展開―学術推進の立場から―」を受け、2年間にわたり鋭意検討し取りまとめた報告書を、6月7日に清水孝雄座長(日本医学会副会長/国立国際医療研究センター理事)から横倉会長に提出したことを報告した。
 報告書は、(1)はじめに、(2)遺伝子診断〔①臨床応用に向けた取り組み・現況②DTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査③遺伝子診断の課題〕、(3)遺伝子治療(①遺伝子治療のコンセプトと歴史②遺伝子治療の最近の動向と課題)、(4)まとめと提言―からなっている。
 (2)では、小児に対する保因者診断について、将来の自由意思の保護の観点並びに本人の発症に直接関係するものでないという理由から、基本的には行われるべきではないと指摘。
 また、DTC遺伝子検査については、社会としてどのような管理・監督体制を構築すべきなのか、今後も継続した議論と監視が必要であるとするとともに、「DTC検査において事前・事後の説明が対面ではないこと」「二次的サービスとして、科学的根拠に乏しい食品やサプリメント等の物販があること」などに極めて強い懸念を示している。
 (3)では、近年、安全なウイルスベクターの開発や改良が進んだこと、遺伝子治療の臨床的成功例が次々と報告されるようになったこと、究極の遺伝子治療と考えられているゲノム編集技術が急速に発展したことなどにより、遺伝子治療に対する期待は再び高まっていると指摘。
 そうした状況においては、ゲノム情報という高度な機微情報を取り扱うことに関わる、倫理的配慮、プライバシー保護、ゲノム医療に関する教育・研修、特に専門性を持った人材の大幅な育成などが重要な課題であり、特に、①遺伝学的検査の品質・精度の確保②遺伝カウンセリング体制等の整備③遺伝情報に基づく差別の防止④データの管理と二次利用―等が重要かつ喫緊の課題と考えられるとしている。
 最後に、小森常任理事は、「遺伝子診断、遺伝子治療に関しては、生命倫理懇談会並びに学術推進会議において議論を重ね、本年4月には『かかりつけ医として知っておきたい遺伝子検査、遺伝学的検査 Q&A2016』を発行しているが、今後も今回の報告書等を基にさまざまな意見を伺い、更に議論を深めていきたい」と述べた。

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