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平成29年(2017年)11月20日(月) / 日医ニュース

「勤務医の参画を促すための地域医師会活動について」をテーマに

勤務医のページ

 泉(司会) 「医師会の認識」についてご発言下さい。
 小林 病院の幹部候補になると、立場上、医師会に入るというのが現状で、若い世代に医師会にどう関心を持たせるかが大事だと思います。
 中堅クラスやその下ぐらいの人が都道府県医師会に関われると、かなり医師会のパワーは上がると思っています。
 矢嶋 大学側も、積極的に医師会入会を勧めることはありません。若い人にはなじみが無いと思います。
 木村 岩手県では、県内にある医師会の研修医会員の会費を全て無料化しています。そして、毎年4月に、研修医向けの歓迎会を県医師会主催で開催し、そこで研修医全員に入会してもらいます。その後、医師会がどういう活動をしているのかアピールしていきますが、ほとんどの研修医は、研修が終わって会費が有料になった時に辞めていきます。
 私個人としては、大学院に入った際、医師会員として医師国保に入ることができたため、医師会の大切さが分かったという経験があります。
 守屋 若い方達は本当にリアリスティックな判断をされるので、医師会の方向性としては、若い人達にすり寄っていくか、あるいは弁護士会ではないですけれども、強制的に入れてしまうか、どちらかの形がよいと思います。
 中川 地域で医療に携わるようになると、医師としてだけではなく行政や法律などの広い知識と、人脈も必要になると感じる中で、医師会の方々が非常にサポーティブに教えて下さった経験があります。まだ研修が終わったばかりの6年目の医師を地域に溶け込ませてくれたのは、医師会の先生方だったと今も感じています。
 木村 職場を移動する際、医師会は三層構造なのでそれぞれに入り直さなければなりません。ただ入り直すにしても、その土地に長くいるとは限らないので、一度、医師会を全て辞めた経験があります。入会も移動も手続きが煩雑で、それで医師会の仕事が見えないとなると、誰も入らないのではないでしょうか。入退会については、せめて若い人達を対象に電子化はして頂きたいと思います。また、配付物の電子化を一層進めて頂くことも重要と考えます。
  「医師会に期待すること」はありますか。
 木村 医師会は、医師の生涯教育という面も担っています。医師会に入ってインターネットを通じて勉強できると、勤務医も入るメリットが非常に大きいのではないかと思います。生涯教育の電子化をもっと推進して頂けるとありがたいです。
 小林 日医主催の講演会の多くは、DVD等で見られますが、そういうことが知られていないことも問題だと思います。
 木村 若手の勤務医は時間がないので、コンテンツごとに効率よく検索と閲覧ができて、勉強できるようになるとありがたいです。
 守屋 開業をするためのノウハウなども提供して欲しいです。大学病院では、あまり開業のためのノウハウを持っていない人もいますので、医師会独自のコースをつくるのも面白いと思います。
 医師会に入る前は、医師会は偉い方々の団体に思えて敷居が高く、また、大学病院なので、医師会を身近に感じにくかったです。中堅くらいの先生方が、もっと医師会で活躍して下さり、気軽に声を掛けるような感じになれば、もっと若い人も参加しやすくなるのではないかと思います。
 中川 地域医療に関して、医師がお互いに分かり合えるような体制づくりをお願いしたいです。例えば空いているベッドの状況を相互に見える化し、患者さんの紹介がスムーズにできるような連携を、医師会が音頭を取って行って頂けたら嬉しいです。
 また、各地域にいるそれぞれの医師が、"こういう患者さんはこのようにして受けます"というような自分のPRポイントを書いて、年に一回でもアップデートすることができれば、患者さんが他の地域まで診療に行くようなことを少しずつ緩和できるのではないでしょうか。
 矢嶋 開業医で、臨床研究に興味を持っている先生方がいらっしゃらないかと思っています。血圧や糖尿病の研究など、高齢者の方々を対象にした臨床研究の結果を日本から発信することはとても大事だと思っているので、開業医の先生方が診ている患者さんのデータなども集めながら、一緒に研究を行っていくという手もあるのではないかと思っています。
 市川 日医では現在、「かかりつけ医 糖尿病データベース研究事業(J―DOME)」に取り組んでおり、非専門医を含む身近なかかりつけ医に通院する糖尿病患者さんのデータベースを構築し、より良い診療のための情報提供と研究分析によって、糖尿病患者さんの治療アウトカムの向上を目指しています。
 矢嶋 実際、現場から情報を集めることができれば、日本としてもとてもよいことだと思います。
 木村 例えば医師会員限定の競争的資金といったものがあると、医師会に入る若手は増えると思います。
 市川 日医では年一回、「日本医師会医学研究奨励賞」として、医学上将来性に富む研究を行っている若手会員を顕彰し、一人当たり150万円を授与しています。
 小林 医師は結局、どこかの組織にコミットしたいのではないかと感じています。昔は医局で、大学にコミットしていたのが、今はコミットする場所がないので、フリーランスになる医師が出てきたような気がします。
 その受け皿に医師会がなるためには、皆にとって役に立つシンクタンクのような機能やリサーチ機能、あるいは地域のネットワークシステムをリードする役割を担って欲しい。日医が各都道府県医師会との協力の下で実施している専門医制度の共通講習など、勤務医にとって有益な事業について、うまく広報できればいいと思います。
 中川 医師不足を補うという意味でも、郡市区等医師会において、各地域における医師の求職と求人のマッチングを行って頂ければ、眠っている人材の掘り起こしにもなると思います。リクルートの会社にお願いすると、その企業に払う費用も多額になります。また、配偶者の転勤に付いて行く女性医師も多いので、そのような方がスムーズに新しい土地で働き始められるよう、復職支援などのサポートをして頂けたらありがたいです。
 若手医師に関しては、スーパーローテーションで各科を短期間で回って行きますので、メンターが自然発生的にできることが難しい時代になったと感じています。打ち明けられるような相手が誰もいないまま育つ医師が多いと思います。
 そういう中で、医師会の先生方の経験を、若い先生方に自然に伝えられるような会が、もう少しあってもよいと思います。
 小林 京都府では屋根瓦式という形で、地域の中堅医師が研修医を教えるという取り組みが進められています。京都府医師会が中心となり、病院の枠を超えて地域の医師が研修医達を教え、そこで教わった人達がその後教える側に回るという仕組みです。
 木村 医師会のホームページに関しては、例えば、医師会員専用のアプリケーションを作って、情報共有に利用するのもいいのではないでしょうか。
 市川 本日は貴重なご意見を聞かせて頂き、ありがとうございました。
  本日はありがとうございました。

勤務医座談会出席者
泉  良平 【司会】(日医勤務医委員会委員長・富山県医師会副会長)
木村 尚人 (岩手県立中央病院医療研修科長兼脳神経外科医長)
小林 利彦 (浜松医科大学医学部附属病院医療福祉支援センター特任教授・静岡県医師会理事)
中川  麗 (札幌徳洲会病院プライマリセンター センター長)
守屋普久子 (久留米大学医学部病理学講座助教/同大学病院男女共同参画事業推進委員会副委員長)
矢嶋 宣幸 (昭和大学リウマチ膠原病内科講師)
市川 朝洋 (日医常任理事)
(敬称略)

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