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平成30年(2018年)1月10日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

平成29年度有床診療所委員会答申「次期医療計画及び介護保険事業(支援)計画に向けた有床診療所のあり方~医療及び介護の一体的推進に向けて~」について

 鈴木邦彦常任理事は、1月9日の定例記者会見で、有床診療所委員会が会長諮問「次期医療計画及び介護保険事業(支援)計画に向けた有床診療所のあり方~医療及び介護の一体的推進に向けて~」について、7回の委員会及び1回のワーキンググループでの審議結果を取りまとめ、12月19日に齋藤義郎委員長(徳島県医師会長)から横倉義武会長に提出したことを報告し、その内容を説明した。

 本答申は、(1)はじめに、(2)地域包括ケアシステムにおける有床診療所の役割、(3)有床診療所の専門医療について、(4)経営と事業承継、(5)おわりに─から構成され、参考資料として、日医総研による「平成29年有床診療所の現状調査」の抜粋が掲載されている。

 (1)では、有床診療所は年間400施設、多い時には900施設にも迫るペースで減少の一途をたどっており、新規の参入もなかなか認められない状況であった中、平成29年3月の医療法施行規則の改正により、届出による病床設置の特例が拡大されたことに触れている。地域包括ケアシステムの構築に必要な診療所として、在宅療養支援診療所の機能等の機能を有し、都道府県医療審議会で認められれば、届出による設置が可能となったが、「ここで重要なのは、都道府県行政の正しい理解と、都道府県医師会による支援である」と書かれている。これまでも都道府県行政によっては硬直的・厳格な運用で特例の趣旨が生かされず、新規開設が認められないケースも多くあったとして、厚生労働省による周知徹底はもちろん、都道府県医師会の十分な理解を得て、行政に働き掛けてもらうことも重要だとしている。そのために、都道府県医師会有床診療所担当理事連絡協議会の開催を求めていることについて、鈴木常任理事は、3月9日に開催を予定していることを明らかにした。

 (2)の「地域医療構想と有床診療所」では、地域で機能分化・連携を進めていく上で、有床診療所の病床の役割を理解してもらうため、郡市区医師会とも連携して、有床診療所が積極的に参加していくことが必要だと指摘。「在宅医療における有床診療所の役割」としては、自院の患者だけでなく、他の医療機関とも協力しながら、患者が入院を必要とする時の受け皿となれるよう体制を整備すべきとしている。

 更に、同常任理事は、医療的ケア児が増えている中で、訪問診療や入院・レスパイト等の支援に有床診療所が関わっていくことができるのではないかということで、今回新たに「小児の在宅医療への対応」について、実際にレスパイトや放課後デイサービスを行っている委員の先生方に執筆してもらったこと、また、都道府県医師会に対しては、有床診療所の担当理事の選出や有床診療所委員会など地域の有床診療所の会員が協議できる場の設置を要望している他、スプリンクラーの補助金の情報等を会員に積極的に流すなどの支援を求めていることを紹介した。

 最後に、鈴木常任理事は、(5)では、有床診療所の新規開設に関する特例に関して、既存の病院がサテライトとして有床診療所を開設し病床数を確保することが行われると、地域の医療機関の連携による地域完結型医療から、特定のグループ内の医療になってしまう懸念があるとして、都道府県医療審議会での議論の必要性が強調されているとした。

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