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平成30年(2018年)5月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

日医・民間病院イギリス医療・福祉調査団の報告書まとまる

定例記者会見 4月4日

 鈴木邦彦常任理事は、自らが団長を務める「日医・民間病院イギリス医療・福祉調査団」が、報告書「民営化と自由化が進むイギリス医療―わが国はかかりつけ医と医師会の役割がさらに重要に―」を取りまとめたことを報告し、その内容を説明した。
 同医療・福祉調査団は、医療関係者と学者の10名程度で組織されており、平成20年からフランス・ドイツ・イギリスを中心に各国の医療・福祉の実態を把握するため、毎年1カ国への訪問調査を実施。鈴木常任理事が日医役員となった平成22年からは、日医からも支援を行っている。
 今回のイギリスは、平成21年、24年に次いで3回目の訪問となるが、最新のイギリスの医療・福祉の実態を把握することを目的として、29年5月2~5日の日程で、イギリスのロンドンに所在する医療機関、介護施設等を訪問調査した。
 報告書は、(1)調査の総括と提言について、(2)調査団名簿、(3)日程表、(4)報告書(各調査団員による報告書)、(5)質疑応答資料、(6)訪問先説明資料、(7)講義資料―により構成されている。
 その中では、今回の訪問調査を踏まえて、①かかりつけ医は「社会的処方」などを通じて患者のゲートキーパーよりも生活を支えるナビゲーターになる必要があり、「日医かかりつけ医機能研修制度」の充実・強化が求められる②郡市区医師会は、地域包括ケアシステムの事務局機能や地域医療構想を主導することが求められている③地域包括ケアシステムを構築するためには行政と医師会は車の両輪になる必要があるが、地域包括ケアシステムの医療の3点セットとして、かかりつけ医と医師会と中小病院・有床診療所の存在が重要であり、地域密着型の中小病院・有床診療所が必要である―との提言を行っている。
180505d2.jpg 同常任理事は、今回の調査を振り返り、イギリスでは、NHS(National Health Service)の民営化、自由化が推進され、GP(家庭医)診療所への複数GP配置とサブスペシャリティ化(GPwSIs)や非常勤医、パート医の増加及びグループ化による拡大と専門医の雇用によるセカンダリーケアが行われていたと説明。
 また、STP(Sustainability and Transformation Plan)については、「医療と福祉の統合を目指しており、わが国の地域包括ケアシステムに相当すると考えられたが、統合による効率化によって特に福祉の抑制を緩和したいとのことであった。しかし、医療が全国組織のNHSであるのに対して介護を含む福祉が地域レベルであるため、医療と介護が分断されており、わが国の地域包括ケアシステムを構成する地域ケア(コミュニティケア)と統合ケアのうち、統合ケアは十分に進んでいなかった」と述べた。
 更に「社会的処方」の考え方に関しては、日本にどのように導入できるのか研究していきたいとした。

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