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平成31年(2019年)1月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

現時点において全体で「医療に係る消費税問題」が解決

 横倉義武会長は昨年12月19日、自由民主党・公明党より同月14日に「平成31年度税制改正大綱」が公表されたことを受けて、日本歯科医師会、日本薬剤師会、四病院団体協議会の各団体の代表者らと共に記者会見を行い、税制及び予算措置により、「現時点において全体で『医療に係る消費税問題』が解決」とする日医の見解を説明した。

 会見の中で横倉会長は、控除対象外消費税相当額について、消費税率が5%から8%へ引き上げられた時と同様の方法により、全額補てんされ、基本診療料へのきめ細やかな配分が精緻(せいち)に行われることになったことについて、「シミュレーションによると、補てんのバラツキは相当程度是正されると見込まれている」「実際の補てん状況を丁寧な確認作業により定期的に継続して検証し、必要に応じて見直していくことになる」―ことを挙げ、「これにより、控除対象外消費税の問題は対応できる」とした。
 一方、設備投資への支援措置として、「医師及び医療従事者の働き方改革の推進のための器具備品、ソフトウエアの特別償却制度」「地域医療構想の実現に資する病院用等の建物及びその附属設備の特別償却制度」の二つが新たに創設されたこと、更に従来の「高額な医療用機器の特別償却制度」の延長を含めた3点において特別償却制度の拡充・見直しがなされることになったことについては、医療機関の設備投資が促進され、患者が新たな医療の恩恵を受けやすくなることが期待できるとした。
 横倉会長はまた、現状では、「非課税のまま診療報酬を精緻化して配点するソフトランディング」あるいは、「国民や社会の反対を押し切って社会保険診療を課税転換するハードランディングをしてリセット」という二つしか選択肢がないことを踏まえ、非課税の下では医療に係る消費税問題は解決されたとの考えを示した。
 加えて、平成31年度予算において、地域医療介護総合確保基金の医療分が約100億円積み増しされる他、医療ICT化促進基金(仮称)が約300億円で創設される予定であることにも言及。「こうした措置により、法人税非課税の医療機関も医療ICT化促進基金(仮称)を医療機関におけるオンライン資格確認や電子カルテ標準化等に活用できるだけでなく、地域医療介護総合確保基金の積み増しによって地域医療構想の実現に向けて建物等において活用できる」と述べるとともに、「今回の税制及び予算措置により、現時点において全体で医療に係る消費税問題は解決と考えている」とした。
 その他、事業承継税制については、一定の措置がとられたことにより、地域を支える個人立病院・診療所の円滑な事業承継がなされるとして、評価する考えを示した。
 日歯からはいわゆる四段階制が守られたこと、病院団体等からは、今回の日医の対応にそれぞれ感謝の意が述べられる一方、病院団体からは診療報酬で対応していくには限界があるとして、今後は課税化を含め、新たな視点で検討することを求める意見も出された。
 記者との質疑応答の中で、課税化に対する見解を求められた横倉会長は、課税化した場合には(1)医療費が増える可能性があり、その財源をどのように確保するのか、(2)医療費が増えることに国民の理解が得られるのか、(3)医療機関への税制措置が無くなる可能性がある―などの課題があり、消費税率が更に上がる場合には、それらについても議論する必要があると指摘した。

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