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平成31年(2019年)1月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

成育基本法の成立を受け日医の見解を示す

定例記者会見 平成30年12月19・26日

 平川俊夫常任理事は、昨年12月8日の参議院本会議で成育基本法が可決・成立したことを受けて、改めて日医の見解を示した。
 同常任理事は、少子化対策や子育て支援等に関して、会内の委員会において「小児保健法案」(平成20年)や、「成育」の概念を盛り込んだ「成育基本法案」(平成25年)を提案していたこと、また、母子保健行政の縦割りを解消し、子育てを孤立させず、子どもが心身共に健やかに育つことが保障される社会づくりのためには、妊婦への支援から出産後の子どもの成長過程における切れ目のない支援が保障される社会を形成することが極めて重要な国家的課題であると捉え、日本小児科医会、日本産婦人科医会と共に、成育基本法の制定に向け活動を続けてきたことなど、これまでの経緯を説明。
 本法の内容については、(1)全ての妊婦、子どもに妊娠期から成人期までの切れ目のない医療・教育・福祉を提供することの重要性を定め、国や地方公共団体、関係機関に必要な施策を実施する責務がある、(2)政府に対し「成育医療等基本方針」の策定と閣議決定を求め、施策を実施するために必要な法制上または財政上の措置を義務付け、実施状況を毎年公表する、(3)基本方針は6年ごとに見直し、厚生労働省内に医療関係者や有識者でつくる「成育医療等協議会」を設置する―ことが明記されたことに触れ、「これにより、母子保健や児童福祉分野の連携が強化されることで、誰もが適切な支援を切れ目なく受けられることが期待される」とした。
 その一方で、今後は、(1)保護者や妊産婦の社会からの孤立を防ぐため、健診や相談支援を通じて虐待の予防や早期発見の促進、(2)科学的知見に基づく愛着形成に関する知識や食育を含めた心身の健康に関する教育の普及啓発、(3)予防接種や健診に関する記録のデータベース整備、(4)子どもが死亡した場合における死因の検証―等の体制整備が求められると指摘。
 「日本は急速な少子高齢化により、子どもの健全な育成を保障するための社会的施策が立ち遅れており、母子保健医療体制の充実や子育て支援のための社会環境の整備が必要となっている。未来を担う子どもの健やかな成長を社会全体で支援することが少子化対策を一層強化するものであり、本法の制定はその大きな一歩である」とし、引き続き、関係機関と連携・協力の上、政府に対して実効性のある施策の確実な実施を求めていく考えを示した。

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