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令和元年(2019年)7月19日(金) / 「日医君」だより

慢性期の医療提供体制に関する種々の課題について意見交換

 今年度第1回の「日医・日本慢性期医療協会懇談会」が7月10日、日医会館で開催された。

 議題は、(1)慢性期救急、(2)慢性期リハビリテーション、(3)終末期医療のスタンス、(4)介護医療院の課題―についてであり、日医からは、横倉義武会長を始め、中川俊男・今村聡・松原謙二各副会長、松本吉郎・城守国斗・平川俊夫・長島公之・江澤和彦各常任理事が、日本慢性期医療協会(以下、日慢協)からは、武久洋三会長、中川翼・矢野諭・池端幸彦・橋本康子副会長、田中志子・富家隆樹・熊谷頼佳・鈴木龍太・仲井培雄各常任理事が、それぞれ出席した。

 当日は、城守常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつした横倉会長は、各地域で高齢者へのケアに尽力されている日慢協の先生方の日頃の活動に謝意を示した上で、「我々の基本は、地域の患者をいかに支えていくかにあり、今後更に加速する高齢社会に対応する医療提供体制の構築に向けて、日本の医療をより良くしていけるよう協力していきたい」とした。

 続いて武久日慢協会長があいさつを行い、「医師会の主張は我々の主張に沿っている。これからも日医と二人三脚でやっていきたい」と述べた。

 (1)では、武久日慢協会長が、救急搬送人員の変化や受け入れ医療機関の現状を報告するとともに、日慢協の考え方を説明。長島常任理事は、日医が日本救急医学会と共に「高齢者救急問題を検討する懇話会」として、救急関連の各学会に呼びかけて現状の把握とその対策を検討中であることを報告した上で、各地域の医師会、行政、救急関係者が情報を共有し、地域の実情に合わせた救急体制を整えていくことが重要だと指摘。国に対しては、人員や資金が限られる二次救急の担い手である民間医療機関への財政的支援を強く要望しているとした。

 (2)では、武久日慢協会長の「高齢社会において、病院は疾病の治療だけでなく、患者が日常に速やかに帰れるような『リハビリテーション力(りょく)』や『ケア力(りょく)』が必要であり、リハビリテーションはもはや誰にでも必要な療法である」との意見に対して、江澤常任理事は、リハビリテーションの医療から介護への円滑な移行に向けて診療報酬・介護報酬での対応が行われたことを改めて説明。算定するに当たっては、面積・人員、器具の共用等の要件緩和の活用や、保険医療機関が介護保険におけるリハビリテーション事業所の指定を受けようとする場合には、2019年9月30日までの間は同4月1日に遡及し算定できるとして、その周知を求めた。

 その上で、「退院直後の速やかなリハビリテーションの提供や急性増悪時に通所リハや訪問リハが集中的に提供できる仕組みなど、入院・外来・在宅において、リハビリテーションの必要な方に過不足なく提供できる体制整備が必要」と述べた。

 (3)では、武久日慢協会長が高齢化に伴い、臓器や領域を超えた多様な問題を抱える患者への対応には総合診療医の育成が重要との見解に対する日医の考えについて質問。横倉会長は、「本来、医学教育を受ける中で総合診療能力を身につけるのは当たり前のことで、その先に臓器別がある」との考えを示した。

 (4)では、鈴木龍太日本介護医療院協会長が介護医療院の開設状況や支援策・利点など現状について説明した上で、介護医療院への移行がなかなか進まない理由として、1.経過措置が継続できるとの判断、2.手続きが煩雑、3.処遇改善加算の取り扱い―を挙げた。

 最後に、中川副会長が、「慢性期がこれからの医療の主体になることは間違いない。これからも日医は日慢協としっかりと連携していきたい」と総括し、懇談会は閉会となった。

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