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令和元年(2019年)8月5日(月) / 日医ニュース

ブラックジャックとAI

 手塚治虫の鉄腕アトムで育ち、その後、ブラックジャックの漫画の中での手術に驚き、ワクワクさせられ、外科医に憧れた。また、手塚治虫の近未来を見る目に驚かされた。
 ブラックジャックはいろいろな珍しい患者、例えばシャチや馬、宇宙人しまいには幽霊まで手術する。某大学医学部の学生団体から「でたらめを描くな」とクレームを受けたこともあるが、「でたらめが描けない漫画なんてこの世にあるものか」と反論している。そんなブラックジャックの一話に、コンピューターさえも患者にした物語がある。
 最先端医療を行う病院で、患者の診療や手術を行うコンピューター「U―18」の回路に異常が生じる。病院側は、修理もしくは廃棄をしようとするが、それを「病気」だと主張する「U―18」は入院患者を人質とし、ブラックジャックに回路の手術をさせるように要求した。
 「U―18」は、ブラックジャックにとってコンピューターの回路の手術も、脳の血管をいじるみたいなものだと分かっていたからだ。
 ブラックジャックは病院側の中止要請に対し、「私は修理工ではない。病人を治す医者なんだ」と言い、「U―18」を一人の患者とみなして「手術」を終える。
 そして、「U―18」は「人間ヲナオスノハ、ヤッパリ人間ニシカデキナイ」と、今回の「病気」をきっかけに「医者」の引退を決意する。
 今後はAIが診断、手術などに多用されるようになる。ブラックジャックの漫画を再読しながら、どのような医療の世界になるのだろうかと想像させられた。

(禿)

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